597日ぶり勝った!新垣ヤク移籍後初白星 山本昌に学んだ復活劇

[ 2015年4月10日 05:59 ]

<ヤ・中>「今日は僕じゃないでしょ!」とボードで顔を隠す畠山(右)に笑顔を見せる新垣

セ・リーグ ヤクルト3-2中日

(4月9日 神宮)
 1点差を逃げ切り、ベンチで見届けたヤクルト・新垣から笑みがこぼれた。ソフトバンク時代の13年8月20日オリックス戦(ヤフオクドーム)以来、597日ぶりの白星。「移籍してやっと勝てました」。今季初登板。5回で8安打されながら2失点と耐えた右腕は、お立ち台で「ナギサ」コールを一身に浴びた。

 04年から3年連続2桁勝利を挙げた輝きを失い、もがき苦しんでいた。登板機会は減り、昨年7月にトレードで新天地に渡った。しかし2度の先発で2敗。制球難で自滅し、首脳陣の期待を裏切った。慣れた福岡を離れて戦う新垣の元へ、10月には家族が上京。妻と4歳、2歳の愛娘の存在を支えに復活を期した。

 必死だった。昨オフには初めて鳥取市内のトレーニング研究施設「ワールドウィング」を訪れた。初動負荷理論を推奨する同施設では49歳で現役を続ける中日・山本昌らとトレーニング。「一年でも多く結果を出したい。一緒にいるだけで刺激を受けた」と今季に懸ける思いを新たにした。

 イースタン・リーグに3度先発して防御率0・56。好調の要因は直球で勝負できるようになったことだ。リリース時に力みが生じて「ボールを離すタイミングが一瞬しかなかった」という過去の投球。オフの新たな取り組みが生き、リラックスする意識が生まれた。球の速さで鳴らした男に武器が戻り、変化球も生きた。試合をつくり、降板直後の逆転を呼んだ。

 試合後になって母・八重子さん(59)が観戦に訪れていたことを知り「来てたの!?」と表情を和らげた。「きょう勝てたのはみんなのおかげ。今後は楽に勝てる投球をしないと」。ウイニングボールを手に、次なる戦いを見据えた。

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