マー君 敗因は球速ではなく制球難 ツーシーム甘く「メカニックの部分」

[ 2015年4月8日 05:30 ]

<ヤンキース・ブルージェイズ>3回1死一塁、エンカーナシオン(上)に2ランを浴びる田中

ア・リーグ ヤンキース1―6ブルージェイズ

(4月6日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が6日(日本時間7日)、ブルージェイズを相手に開幕投手を務め、4回5安打5失点で今季初黒星を喫した。メジャー2年目で初の大役となったが、3回に2ランを浴びるなど一挙5失点。ヤ軍の開幕投手が4回で降板したのはナックルボーラーとして活躍した1985年のフィル・ニークロ以来30年ぶりという不名誉な結果に終わった。次回は12日(同13日)のレッドソックス戦に先発する。

 集中砲火を甘んじて受け入れた。米メディアからの厳しい質問攻め。打たれた要因を「昨年痛めた右肘をかばい、速球の速度が低下したのでは」と聞かれたが、田中は表情を変えずに対応した。

 「フォーシーム(直球)もツーシームも両方投げていく。それは使い方。しっかり考えて投げていければ」。初回、球場の電光掲示板にある球速表示が出なかったことで「速球のことばかり聞かれるから(田中が)そうしたのか」と疑う質問まで飛び出し「球場の人に聞いてください」と苦笑いするしかなかった。

 初回、先頭レイエスを宝刀スプリットで3球三振。2回までに3三振を奪い、まい夫人もスタンドでガッツポーズする最高の立ち上がりだった。ところが3回に突如崩れた。安打と四球で無死一、二塁。ここで田中はレイエスの目線から三塁側へのバントを読み、自身で捕って三塁封殺を狙っていた。だが「マウンドを下りる時に捕手方向に下りてしまった」。出足が遅れて捕れず、三塁手ヘドリーが一塁に悪送球し、先制を許した。最悪の展開。マーティンに右前2点打され、エンカーナシオンに左越え2ランを浴び、5失点。4万8469人が詰めかけた本拠地をため息が包んだ。

 「たくさんの方がこの登板に期待してくれたと思うし、その期待に応えられなかったのが悔しい」。82球のうち、最速150キロだった直球はわずか4球。昨季のメジャーデビュー戦で同じブルージェイズ相手に勝った時は16球も投げていた。理由はある。昨季、直球を痛打された経験から「僕の真っすぐを思い切り投げたって(大リーグでは)通用しない」と言い、メジャー2年目は打者の手元で動くツーシーム主体に切り替えた。直球より5キロほど遅い速球。昨年7月に右肘じん帯を部分断裂したため、肘への負担を軽減することにもつながる。打たせて取る投球へのモデルチェンジを図ったが、この日は肝心の制球が乱れた。82球中ボールが32球でストライク率は約61%。一発を浴びた場面も内角を狙ったツーシームが甘く入り「狙ったところに投げられなかった。原因はメカニックの部分」と話した。

 日本投手では初となる名門ヤンキースの開幕投手を務めたが、4回5失点。昨年3戦3勝だったブ軍には初めて土をつけられた。それでも肘の負担を考慮して90球の球数制限があり、ラリー・ロスチャイルド投手コーチは「(キャンプは)スロー調整だったし、まだ腕の強度を上げている状態」と心配していない。

 田中も冷静だった。「(開幕戦は)そんなに特別なものというのはなかった。自分にとってレギュラーシーズンの1試合目という感じ」。全ては一年を通しての結果だ。この男は必ず、開幕黒星の悔しさを糧にする。

 ▼ヤ軍、ジョー・ジラルディ監督 2イニングは良かった。3回はカウントを不利にしたのが響いた。

 ▼広島・黒田(田中の投球をテレビ観戦)そこまでギアをトップに入れてという入り方ではなかった。これから状態は上がってくるでしょう。ヤンキースもそうですけど、トロントの選手も昨年対戦していた打者ばかり。不思議な感じがしました。

 ≪日本人4人目大役≫田中は、日本選手では野茂(タイガース、ドジャース)松坂(レッドソックス)黒田(ドジャース)に次ぐ4人目(6度目)の開幕投手となった。2000年に初めて大役をこなした野茂が2勝1敗で、03年には完封を飾っている。08年の松坂は勝敗が付かず、09年の黒田は白星を挙げた。チームの本拠地球場で務めたのは04年のドジャース時代の野茂以来。

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