バット叩きつけたのに…中田フラフラ満弾「左飛だと思った」

[ 2015年4月6日 05:55 ]

<オ・日>5回2死、左飛だと勘違いし悔しがるそぶりを見せるもまさかのスタンドイン。満塁本塁打を放った中田

パ・リーグ 日本ハム7-2オリックス

(4月5日 京セラD)
 悔しさのあまり、日本ハム・中田は、右手に持ったバットをグラウンドに思い切り叩きつけた。本人の感触はミスショット。ところがだ。フラフラと舞い上がった打球はなかなか落ちてこない。そして、そのまま左翼席最前列に吸い込まれた。

 5回、2―1と勝ち越し、なお2死満塁の好機。三塁塁審の腕が回るのを見て、初めて本塁打と気付いた。昨年7月25日の楽天戦(コボスタ宮城)以来、自身2本目のグランドスラムに、ベンチで何度もネックレスにキス。「打った瞬間、左飛だと思った。うん、風に乗ったね」。無風の京セラドームでおどけた。

 オリックス先発の新人・山崎福には、2打席凡退していたが、集中力は 極限まで高まっていた。「1打席目は差し込まれて見逃し三振。“甘い球だけ来い”と願っていた」。2ボール2ストライク。真ん中に甘く入った135キロ直球に瞬時に反応した。「完璧に捉えられたわけではない」という4番の一発で試合は決し、連勝は5に伸びた。

 今季の中田はチームを引っ張る意識が違う。稲葉、金子誠ら長年チームを支えたベテランが昨季限りで現役を退き、この日も外国人と田中以外は全員年下。新主将の左腕・宮西も中田を「攻撃のリーダー」に指名し、開幕前には「今までよりしっかりせなあかんぞ」と伝えた。沖縄・名護キャンプでは2年目・岡の打撃練習を見守り、マンツーマンで指導する中田の姿があった。それは開幕後も変わらない。その岡はこの試合、2安打。中田は「打っているのは年下ばかりだったので、刺激になった」と言った。

 試合後に囲んだ報道陣に向かって「近過ぎる!加齢臭が半端ないねん!」と毒づき、笑いを誘うやんちゃな一面は変わらない。それでも、ここにきてリーダーの風格が出てきた。栗山監督は「普通です。ああいうところで打ってくれるのが中田翔」と信頼を寄せた。
 栗山政権下では5連勝は最多タイ。単独首位をキープし、中田は「これで勢いづいたかどうかは分からないけど打ててうれしかった」。ミスショットが満塁本塁打。うれしくないはずがない。

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