マー君「どこでもドア」投球術 右左下へ…3軌道「扉」自在

[ 2015年3月20日 05:30 ]

ブレーブス戦の2回、先頭打者を一ゴロに打ち取り一塁手(左)とタッチするヤンキース・田中

オープン戦 ヤンキース12―5ブレーブス

(3月18日 オーランド)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が18日(日本時間19日)、オープン戦2度目の登板となるブレーブス戦に先発。3回2/3を2安打無失点、3奪三振で今季初勝利を挙げた。両サイドのボールからストライクになるフロントドア、バックドアを狙い通りに制球。宝刀スプリットでは併殺を奪うなど、相手打線を手玉に取った。オープン戦2試合のイニングあたりの球数は11・3。昨季痛めた右肘の負担を和らげる「省エネ投法」は熟成しつつある。

 内角高めをえぐったツーシーム。左打席で大きくのけぞるピーターソンをあざ笑うように、ボールはストライクゾーンに決まった。初回1死走者なし。田中の完璧なフロントドアで「ドア3部作」の幕が開いた。

 「前回同様、いい投球ができた。まあ、バッターがいい反応をしてくれたというふうには思う」

 オープン戦2度目の登板も抜群の制球だった。ピーターソンから見逃し三振を奪うと、続く左打者のフリーマンにも「扉」を開いた。フルカウントからの9球目はバックドア。外角のボールゾーンからストライクになるスライダーに、慌てて振ったバットは空を切った。2回1死一塁では代名詞スプリットがうなりを上げた。シモンズを低めのスプリットで遊ゴロ併殺に仕留め、「併殺が欲しいところだったので、実際ああいうふうに取れた。イメージ通りいって良かった」。急激に落ちる変化はいわば地下室への扉、英語に当てはめれば、「アンダーフロア(床下)ドア」といったところ。打者を翻ろうする15年型の投法はオープン戦2試合で5回2/3で2安打無失点と完璧な内容だ。

 3回45球をメドにしたこの日は、3回を終えても35球。「球数を抑えて投げられているのは悪いことでは絶対ない。そういうピッチングをしたいと思って投げているから、その思いと結果が出ているのは、悪くはない」と4回もマウンドに上がった。この日の45球目をフリーマンに右線二塁打されたが、スタンディングオベーションの中、悠然とマウンドを降りた。前日から試し履きしているニューバランス社のスパイクでの登板だったが「ひみつ道具」は田中のボールそのものだった。

 2試合17アウトのうち外野フライは1で、奪三振が5、ゴロアウトが11。「いい球がそれだけ多かったのかなと。ボールがいい動きをしているんだと思う」と満足そうに分析した。ある時は大きく内側に、またある時は大きく外側へ。さらには突然下へ。メジャー2年目を乗り切る田中の「どこでもドア投法」は、こんなことも、あんなことも、いっぱいかなえてくれる。

 ▽どこでもドア 人気漫画「ドラえもん」に登場する、ひみつ道具のひとつ。半開き状態の形状で、目的地を唱えたり思いを伝えて扉を開くと到着できる。宇宙にも行けるが、なぜか10光年以内の制限。場所を明確に言わないと適当な場所に導かれる。

 ▽バックドア&フロントドア 左右に限らず相手打者の外角ボールゾーンからストライクゾーンへ変化する軌道を「裏口から入る」の意味で、バックドアと呼ぶ。その反対に、内角ボールゾーンからストライクゾーンへ入るのがフロントドア。死球の危険もあるので、バックドアより高度といわれる。

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