柳田 新型“アッパー弾”逆方向2号!藤井C助言で不調脱出

[ 2015年3月16日 05:30 ]

<ソ・中2>9回1死二塁、左越えに本塁打を放った柳田はナインとタッチをする

オープン戦 ソフトバンク3―5中日

(3月15日 ヤフオクD)
 本領発揮の一撃だ!ソフトバンクの柳田悠岐外野手(26)は15日、中日戦の9回、オープン戦2号の左越え2ランを放った。フォロースルーの形からアッパースイングに見えるが、インパクトではボールを上から叩いて本塁打に必要な打球の発射角度をつけた納得の一発。打率1割台に低迷している鷹の若き大砲だが、3回にも左中間二塁打を放つなど2安打の活躍で、浮上のきっかけをつかんだ。 

 驚がくのライナーだ。4点差あった9回1死二塁。中日・福谷の外角147キロ直球に対し、柳田はバットを振り下ろした。とてつもない衝撃を受けた打球が着弾するまでの時間はたった5秒。新設のホームランテラスを越え、左翼席へ突き刺さった。

 「上から叩いて(バットの)ヘッドを立たせる。芯に当たれば飛ぶ。いいスイングでした」

 最後にバットを振り上げる姿は、アッパースイングに見える。だが、バットは下から出ているわけではない。これぞ新型アッパー弾だ。この日、練習中に藤井打撃コーチから「上からボールをつぶすように」と耳打ちされた。もともと、理詰めでスイングするタイプではない。当たれば飛ぶと割り切った。難しいことを考えず、ボールをつぶす。感性のままに振り切った。

 この試合前までオープン戦は8試合、打率・148、1本塁打、4打点と不調に悩んでいた。昨季はラインドライブの打球が多く、15本に終わったホームランを量産するべく、バックスピンをかける新打法に取り組んだ。スピンを意識するあまりに、本来の思い切りの良さは影を潜めていたが、この日は荒々しい一面が戻った。「本当のアッパー(スイング)だったのかなと思うよ」と藤井打撃コーチの合格点ももらった。

 5点ビハインドで迎えた9回は今宮の適時二塁打も飛び出し、2点差まで詰め寄った。オープン戦とはいえ、ほぼ満員となる3万8381人が押し寄せたヤフオクドームで零敗を免れ、工藤監督は「ゼロで終わらなかったのは大きい。2、3点差であれば追いつけるのを他球団のスコアラーに見せられた」と話した。柳田を3番に起用する構想を固めつつある指揮官は、ようやく飛びだした背番号9の「本拠地1号」に安どの笑みを浮かべた。

 「あした(16日)は休みなんで、この感覚を忘れないよう、家でバットを振っておきます」と柳田。ようやくつかんだ一発の手応えだ。今季史上9人目のトリプルスリーに挑む男の心は、満足感よりも使命感の方が勝っているようだった。 

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