ダル 手術決断も前向き「できることがたくさん増える」

[ 2015年3月15日 05:30 ]

レンジャーズのダルビッシュ

 レンジャーズは13日(日本時間14日)、右肘の内側側副じん帯を損傷したダルビッシュ有投手(28)が、17日(同18日)にフロリダ州の病院でじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けると発表した。今季中の登板は絶望で、来年5月の復帰を目指す。長く苦しいリハビリが待つが、ダルビッシュは前向きな決断だと強調。同手術から復帰後には球速などのパフォーマンスが向上する選手もおり、一回り大きな投手として帰ってくることを誓った。

 落胆の色はのぞかせず、ダルビッシュらしく前向きに、復帰へ向けての決意を述べた。

 「全く暗い気持ちではない。むしろ肘がどんどん良くなっていく。その間にできることがたくさん増える。チームには凄く悪いし、自分のキャリアにも悪いかもしれないが、いいこともたくさんある。そこが楽しみ」

 5日のロイヤルズ戦で右上腕に張りを訴え12球で降板。セカンド、サードオピニオンまで求めたが、チームドクターのキース・マイスター医師の初診の時点で、手術を決断していたという。17日にフロリダ州の病院で、サードオピニオンを求めた同手術の権威、ジェームズ・アンドルーズ医師の執刀を受ける。当初、部分断裂と発表されたじん帯は「すり減っている状況で、一切切れてない」と説明した。

 ジョン・ダニエルズGMは「来年5月までに戻ってきてくれれば」と順調な回復を切望した。復帰までの道のりは長く険しいが、若い時期に手術を受けた投手は、復帰後にパフォーマンスを向上させた投手さえいる。同い年のレッドソックス・田沢は、23歳だった10年に施術。手術前は93マイル(約150キロ)が最速だったが、復帰後には97マイル(約156キロ)を計測し、セットアッパーに定着した。メッツの若きエース・ハービーは、24歳だった13年10月に手術。昨季終盤の復帰を見送り、今年のオープン戦初登板で98マイル(約158キロ)を出した。手術前の平均球速は95・8マイル(約154キロ)だった。ダルビッシュは28歳。20代での手術は、今後の選手生命を劇的に変える可能性もある。

 ただ、手術そのものが球を速くするわけではない。肘への不安がなくなる精神面や、肩がフレッシュになること。リハビリの際に体全体のバランスや下半身など他の箇所の強化に励んだ成果とされる。ダルビッシュも「自分のウイークポイントは肘以外に何があるか」と体と向き合い、この時間を生かすつもりだ。

 「本来良かったのに、それが悪くなっているところは、ある程度は(頭の中に)出ています」。より圧倒的な投手になるための設計図は、しっかり描かれている。

 ▽トミー・ジョン手術 損傷した肘のじん帯を切除し、手首や足首など他の部位から正常な腱を移植する手術。70年代にフランク・ジョーブ博士によって考案され、当時ドジャースのトミー・ジョン投手(メジャー通算288勝)が74年に初めて受けたことからこう呼ばれている。通常、リハビリには12~16カ月の期間を要する。

 ▼ソフトバンク・松坂(11年に同手術を経験)あれほどの才能の持ち主なのでケガをしないでほしかった。肘自体は手術すれば治るものですけれど、そう簡単なものではないので。長いリハビリが待っていますし、時間をかけて治してもらいたい。

 ▼レッドソックス・田沢(10年に同手術を経験)日本球界、メジャーを代表する投手だと思うので早く復帰してほしい。しっかりとしたリハビリのプログラムをこなせばかなりの確率で帰ってこられるので問題ない。

 ▼レンジャーズ・藤川(13年に同手術を経験)復帰したら(じん帯は)強くなると思う。いい時間の使い方をしてもらって。そんなに心配することはない。メジャーでは多くの選手が手術をしているから。

 ▼ブルージェイズ・川崎 お見舞いに行かないと、いけないですね。肘の手術だから、命を取られるわけじゃない。

 ▼ジャイアンツ・青木 手術は凄い決断だと思うけどダルビッシュが決めたことが正解だと思うし、必ずいい方向にいくと思う。手術もうまく成功して、復活してくれることを期待している。

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