G鈴木は福島のために走る…「初の盗塁成功」を希望の光に

[ 2015年3月11日 07:30 ]

<ソ・楽>試合前、ランニングする鈴木

 東日本大震災から半月後。福島県・相馬市出身の巨人・鈴木は変わり果てた故郷を初めて目の当たりにした。漁業が盛んな福島県相馬市。漁船は津波で内陸に流され、辺り一面がれきだった。

 「現実としては考えられない恐ろしい光景。自然の脅威を感じた」。実家は傾いたが、家族は無事だった。「長男として家族のためにできることはないのか…」。野球をすることへの葛藤が生まれたが、弟の言葉が迷いを振り払ってくれた。「お兄ちゃんは野球をしっかりやることが大事」。プロ野球選手として頑張る姿を見せて、被災者を勇気づけることが自分の使命だと自覚した。

 地元で小中学生らと一緒に野球を楽しむのが元日の恒例行事。復興イベントには可能な限り参加し、巨人のユニホーム姿を披露して喜ばせている。「子供たちに夢を与える仕事。希望を失った人たちにもう一度、取り戻してほしい」と願う。

 震災から4年経過。街並みは復旧しつつあるが、福島第1原発の影響で漁業や農業の風評被害は根強く残り、復興の格差を感じている。風化を防ぐためにも「僕が野球で“福島出身”と紹介されれば震災を思い起こすきっかけになる」と語る。

 近年は毎年巨人戦が福島で開催され、今年も5月26日西武戦(郡山)、8月4日ヤクルト戦(福島)の2試合を予定。「まだ一度も福島で盗塁を決めたことがないから成功したい」。被災地の希望の光となるため、グラウンドで走り続ける。

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