冨田、3球三振「メジャー初S」ダルいないレ軍に救世主!?

[ 2015年3月11日 05:30 ]

アスレチックス戦の9回2死満塁で登板し、打者1人を三振に仕留めてセーブを記録したレンジャーズとマイナー契約の冨田(レンジャーズ提供)

 満点デビューだ!昨季限りでDeNAを戦力外となり、レンジャーズとマイナー契約を結んだ冨田康祐投手(26)が9日(日本時間10日)、アスレチックス戦でオープン戦初登板。バックアップ要員としてベンチ入りしたが、4―1の9回2死満塁で起用され、3球三振斬りで「メジャー初セーブ」を記録した。ダルビッシュ有投手(28)が右肘じん帯部分断裂で長期離脱が決まる中、異色の経歴で海を渡った右腕がスポットライトを浴びた。

 本人が一番驚いたかもしれない。3点リードの9回2死満塁のピンチ。「コースケ、トミタ」の名前がコールされた。急きょ回ってきた8番手での出番。冨田は高鳴る鼓動を抑えながら、ブルペンから駆け出した。

 「気持ちが高まったしドキドキしたけど、球場の雰囲気を楽しむ余裕はあった。マウンドへ走っていく時に、凄くいい雰囲気だなと思いました」

 対峙(たいじ)したハッサンは同い年の26歳。昨季レッドソックスでメジャーデビューした期待の右打者だ。初球スライダーで見逃しストライクを奪うと、自慢の武器で勝負した。ストライクゾーンから落ちるフォークで2球連続空振り。圧巻の3球三振斬りに「ガッツポーズしちゃいました」とちゃめっ気たっぷりに話した。

 チームはこの日、同時刻にオープン戦2試合が組まれ、ベンチ入りが手薄なため、冨田は非常時に備えたバックアップ要員として初めてメジャーに呼ばれた。所属するマイナーのキャンプは、前日に始まったばかり。実戦登板は、アリゾナ州でキャンプを張る母校・青学大との3日の練習試合で1回を投げ、3者凡退に抑えただけだった。

 マイナーで与えられた背番号は16。かつてドジャース時代の野茂英雄氏が背負い、自身もクローザーを務めた独立リーグ・四国アイランドリーグの香川時代につけた番号だ。「そういう意味では縁起いいですね」。その独立リーグから、DeNAには育成契約で入団。支配下登録され、13年には1軍デビューを果たしたが、登板はわずか1試合で、昨季限りで戦力外通告を受けた。PL学園時代は前田健(広島)の控え。異色の経歴を歩みながら、少年時代から憧れていたメジャー挑戦のチャンスをつかみ、海を渡ることを決断した。

 練習場やロッカーは別だが、ウエートルームで顔を合わせると、先輩のダルビッシュ、藤川とも積極的に交流してきた。そのダルビッシュは右肘じん帯を部分断裂し長期離脱が決定。チームが大きなショックに包まれる中、夢を追う26歳が最高のスタートを切った。

 今後はマイナーキャンプで練習を積み、開幕は3Aもしくは2Aで迎える見込み。「結果を出し続けて、この舞台で投げたい」。もちろん、1日限りの夢で終わらせるつもりなどない。

 ▼DeNA・高橋(昨季同僚で、今年1月に合同自主トレを行った仲)LINEで連絡をもらったよ。一緒にやったメンバーが結果を出したのはうれしい。どんな環境になっても野球を楽しむことが大事だと言った。一日も早くメジャー公式戦でマウンドに上がって活躍する姿を見たい。

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