横山 今年も誓う“浪江町民招待”登板日予告の先発こだわる

[ 2015年3月11日 05:30 ]

<楽・西>西武打線相手に好投する横山

オープン戦 楽天8―6西武

(3月10日 明石)
 3月11日を翌日に控えたマウンド。福島第1原発の事故で被害を受けた福島県浪江町出身の楽天・横山はこう言った。「もちろん意識しないといけない」と。明石トーカロ球場には雪交じりの寒風が吹きつけたが、2年目右腕は熱い思いを白球に込めて投げた。

 「調子が悪い中で、結果が出て自信になる」。初回、先頭の秋山にストレートの四球。続く栗山に適時二塁打を浴びたが、すぐに切り替えた。左肩の開きを修正し、2回以降は立ち直った。右打者の内角にシュートを多投する、持ち味の強気の投球も目立った。西武打線に内角を意識させたことで、4回には西武の主砲・中村から外角直球で見逃し三振を奪った。

 実家は半壊。中学時代の「相双中央シニア」の監督だった渡辺潤也(じゅんや)さん(享年36)が津波にのまれ、亡くなった。両親は現在も県内で避難生活を送る。新人だった昨年はプロ初先発した9月10日のオリックス戦(コボスタ宮城)で120人の町民を招待した。離ればなれになっていた町民は久々の再会に客席で涙を流した。そんな様子を伝え聞いた横山の開幕ローテーション入りへの思いは人一倍強い。先発投手は登板日が予告されるため、「投げる日が決まっている先発なら、また町民を招待できる」と言った。

 6回を3安打2失点と好投。これでオープン戦3試合、計13回で4失点と安定している。先発枠を今月下旬まで競争させる方針を打ち出している大久保監督だが「合格と言ってあげたいぐらい」と評し、開幕ローテーション入りをほぼ確実にした。「4年がたったけど、地元は時が止まったまま。自分の活躍で浪江町を発信したい」。横山は故郷への思いを力に変えている。 

 ◆横山 貴明(よこやま・たかあき)1991年(平3)4月10日、福島県双葉郡浪江町生まれの23歳。聖光学院では2年の春夏、3年夏に甲子園に出場。2年夏にはベスト8入りした。早大を経て、13年ドラフト6位で楽天に入団。昨年8月30日のソフトバンク戦では、プロ野球史上初めて初登板で1球勝利を挙げた。昨季成績は4試合で1勝2敗、防御率5・40。1メートル80、79キロ、右投げ右打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2015年3月11日のニュース