京大くん開幕1軍合格圏「80点」 けん制でピンチ切り抜け2回3K

[ 2015年2月23日 05:30 ]

<広・ロ>5回から2番手として登板し、2回無失点に抑えた田中

練習試合 ロッテ10―0広島

(2月22日 コザしんきん)
 文句なしの「合格点」だ。ロッテのドラフト2位・田中英祐投手(22=京大)が22日、広島との練習試合で5回から2番手で登板。2イニングを3安打無失点に抑え、実戦デビューを飾った。最速147キロの直球に切れ味鋭いスライダーで3三振を奪い、無四球と制球も安定。自己採点は「80点」で、目標の開幕1軍に大きく前進した。次回は26日のオリックスとの練習試合(宮崎)。再び中継ぎで登板し、結果を残せば3月以降のオープン戦で初めて先発する。

 いきなりピンチを招いても冷静だった。田中は先頭のグスマンに中前に運ばれ、続く梵にも右前打を浴びて無死一、二塁とされた。プロ入り初の実戦登板で、しかも対外試合。それでも苦笑いを浮かべる余裕を見せた。

 「打たれるのは仕方ない」。力まないようにマウンドで自らに言い聞かせた。落ち着き払い、鈴木誠を中飛に打ち取ると、続く美間の場面で代走の二塁走者・田中をけん制で刺した。無失点。6回は圧巻だ。白浜と下水流からいずれも空振り三振を奪った。野間との新人対決では右中間二塁打を浴びたが、最後は上本をスライダーで再び空振り三振。四球もゼロと安定した投球をみせ「5回をゼロに抑えたことで2イニング目は力が抜けて自分の投球ができた。フォームを意識してゆったり投げられた」と振り返った。

 直球は自己最速にあと2キロに迫る147キロを計測。持ち味である鋭い腕の振りが威力を発揮した。直球と20キロ前後の緩急差がある得意球のスライダーで打者のタイミングを狂わせ、2三振を奪った。「腕が振れていた分、変化球を振ってくれた。(スライダーは)武器になるという手応えがあった」。球を受けた吉田も「しっかり腕が振れるので、打者がスライダーを少し怖がるような反応だった」と証言した。

 初の実戦形式となった18日のシート打撃では力みから体の開きが早くなり、直球がシュート回転して制球を乱した。自己採点は「30点」。登板までの3日間でフォームを修正し「5回はあれだけ打たれても抑えられたので70点。6回は自分の投球ができたので90点。トータルで80点です」と満面の笑みを浮かべた。

 落合投手コーチは「また見たいと思わせてくれる投球だった。伸びしろはあるし、確実にステップは上がっている」と評価した。次回は26日のオリックスとの練習試合。再び中継ぎで3回を投げる。ここでも結果を残せば、3月以降のオープン戦で先発の機会が与えられる。「第一歩はいい形で踏み出せた。次は試合の入り方をしっかりしたい。0点で抑え続けることが大事ですから」。開幕1軍を目標に掲げる京大初のプロ野球選手は、話題性だけの投手ではない。

 ▼ロッテ・伊東監督 走者が出ても落ち着いていた。変化球でストライクが取れて、シュート回転する球もかなり少なくなった。

 ▼日本ハム・関根裕之プロスカウト スライダーが面白い曲がりをする。フォームが安定してくれば制球力が上がって、やっかいな投手になる。

 ▼熊崎勝彦コミッショナー(キャンプ視察し、田中と対面)爽やかな青年。頭脳明晰(めいせき)な選手であることは間違いない。非常にいい感じだった。

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