大谷 ダルと同じ3年目開幕投手 則本と初対決「勝たないと」

[ 2015年2月21日 07:30 ]

球場裏の砂浜で栗山監督が開幕投手を発表する中、黙々とランニングする大谷

 日本ハムの大谷翔平投手(20)が20日、初の開幕投手に指名された。高卒3年目での大役は、球団では07年のダルビッシュ有以来。沖縄・名護キャンプが休日となったこの日、栗山英樹監督(53)から手紙で通達された。3月27日の楽天との開幕戦(札幌ドーム)では則本昂大投手(24)との初の投げ合いが確実。エース対決を制してこそ、真のエースとして認められる。3年ぶりのリーグVへ、二刀流3年目・大谷の第1球から幕を開ける。

 キャンプ休日。大谷は午前10時すぎに栗山監督の部屋に呼ばれた。今キャンプ初めて1対1で向き合った。ここまでの調整について振り返った後、便箋3枚の手紙を渡された。指揮官が毎年行ってきた儀式で開幕投手を通達された。

 「自分としても感じるものがあった。チームに勢いをつけられるか、凄く大事なところ。相手も勝てる投手が先発する。何としても勝たないといけない」

 高卒3年目での大役はダルビッシュと同じ。文字で伝えられたことで、20歳の脳裏に熱い思いが刻み込まれた。心を静めた直後に「頑張ります」と短くも、固い決意を示した。大谷はその時の様子を「よく覚えていない」とかわしたが、栗山監督は「素晴らしい表情をしていたし、“こいつ、勝負師なんだな”という顔だった」と語った。

 午前11時11分。名護市営球場に隣接する海岸で栗山監督が報道陣に口を開く。「2015年開幕投手。大谷翔平。きょう伝えました。優勝するために選択肢としてこういう形にしたと」。背番号「11」にちなんだ粋な演出。3月27日の楽天との開幕戦では則本との初対決が実現する。

 指揮官は「3年目は絶対に勝ち切らなきゃいけない。エース同士の対決でやられるような投手であるはずがない」と言い切った。中6日で行くと、2戦目は、4月3日のオリックス戦(京セラドーム)は沢村賞右腕の金子と投げ合うことが予想される。球界を代表する投手たちと激突するローテーションとなるが、大谷ならその試練を乗り越えると信じている。

 この日は、栗山監督が尊敬する巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の79歳の誕生日。長嶋氏は常々、キャスター時代から親交のあった栗山監督に「ファンのことを考え、ファンを楽しませる野球をやってほしい」と伝え、球界全体にもそれを求めてきた。「長嶋さんがつくってくれたもの(プロ野球)を、あいつ(大谷)には背負ってもらわないといけない。あいつは歴史をつくると思う」。2月20日の発表にはそんな思いも込められていた。

 入団1年目、2年目は野手として開幕戦スタメン出場を果たし、3年目は先発投手として名を連ねる。二刀流を突き進む「大谷翔平」にしかできないことだ。「一年一年の積み重ね。達成したわけではなくて、ここがスタート」と言った20歳。昨季、達成した史上初の「2桁勝利&2桁本塁打」で満足する気はさらさらない。3・27から新たなプロ野球の歴史をつくっていく。

 ≪大谷の昨季投げ合い≫大谷(日)は昨季2桁勝利を挙げた投手では、山井(中=13勝)、スタンリッジ(ソ=11勝)、前田健(広=11勝)、石川(ロ=10勝)、石川(ヤ=10勝)の5人と先発で投げ合った。6月4日広島戦(先発前田健)は5回1失点、8月26日ソフトバンク戦(同スタンリッジ)は7回1失点でいずれも勝ち、2勝1敗(2試合勝ち負けなし)。もっとも5投手との対戦時の防御率は4・06。10勝未満の投手とは9勝3敗、防御率2・24だから、主力級との対戦では内容面で物足りなさが残った。

続きを表示

この記事のフォト

2015年2月21日のニュース