楽天 あの日忘れない「特別な日」3・11に3年ぶり実戦

[ 2015年2月20日 06:30 ]

練習前に選手・コーチ・スタッフを前に話をする大久保監督(中央)

 東北に勝利を届ける!楽天が2011年に発生した東日本大震災からちょうど4年となる3月11日に、西武との練習試合(姫路)を行うことが19日、分かった。当日は半旗とし、試合開始前か地震発生時刻(午後2時46分)に両軍ナインが黙とうをささげる予定だ。震災翌年の12年はオープン戦で日本ハムに敗れ、過去2年は試合がなかった「特別な日」。3年ぶりの実戦を勝利で飾り、完全復興を目指す東北に勇気と元気を届ける。

 多くの人命を奪った忌まわしき東日本大震災から、3月11日でちょうど4年。3年ぶりに試合が組まれたことについて、楽天の立花陽三球団社長(44)は「一番大切なことは、あの日を忘れないこと。当日、選手たちは全力でプレーしてほしい」と話した。

 東北をフランチャイズとする球団として、これからも被災地、被災者たちとともに歩む。震災から1年後の12年は岡山・倉敷でオープン戦が組まれていたが日本ハムに敗戦。当時指揮した星野監督(現シニアアドバイザー)も「いい試合がしたかった」と公式戦で敗れたかのように悔しさをにじませた。過去2年は試合がなかったが、選手らが震災に関するイベントに出席し、震災が風化しないことを願ってきた。それでも、野球選手として試合で被災地を勇気づけたい――。今年は翌12日に姫路でオリックスとのオープン戦があることから、当地で試合を行うことを企画。実現に至った。

 西武との練習試合。大久保監督も「3月11日に試合があるのなら絶対に勝たなくてはいけない」と語気を強める。昨年まで2年間務めていた2軍監督時代、若い選手らには「何げなく一日を過ごすのはやめよう。震災で亡くなった方々は、その一日を過ごすこともできなくなった。だから悔いを残さずに一日を一生懸命に生きよう」と伝えてきた。その思いを胸に、当日も指揮を執る。

 選手の思いも同じだ。開幕ローテーションを狙う横山は福島第1原発で甚大な被害を受けた同県浪江町出身。同原発から20キロ圏内の実家は半壊し、中学時代に所属していた「相双中央シニア」の監督だった渡辺潤也(じゅんや)さん(享年36)が津波にのまれて亡くなった。2年目右腕は「もし投げる機会があれば頑張りたい。苦しい思いをした方々が、これから少しでも喜んでもらうために、自分ができることをしたい」と言う。現在、1軍には宮城県出身の相原、神奈川県出身ながらJR東日本東北からドラフト6位で入団した加藤もおり、「東北リレー」が実現するかもしれない。

 13年に球団初のリーグ優勝と日本一を達成しながら、昨季は最下位に低迷。巻き返しを狙うべく、現在チームは沖縄県金武(きん)町で汗を流している。当日は練習試合のため観客はいない。それでも全力プレーで勝利をつかみ、姫路から元気と勇気を発信する。

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2015年2月20日のニュース