マー君、ワールドシリーズ出場の誓い 誕生日はユニホーム姿で

[ 2015年2月11日 06:00 ]

出発前、取材陣に対応するヤンキース・田中

 「3代目ミスターノー ベンバー」襲名だ。ヤンキースの田中将大投手(26)が10日、メジャー2年目に向けて成田空港から渡米した。今季は開幕が例年より遅く、ワールドシリーズは10年以来5年ぶりに11月に突入する日程。過去、11月に行われたシリーズでは、ヤ軍のデレク・ジーターや松井秀喜が活躍している。11月1日は自身の誕生日。昨季は9月にシーズンを終えた右腕はユニホーム姿で27歳のバースデーを祝うことを誓った。

 さっぱりと短く刈り込んだ髪が、メジャー2年目に向かう田中の新鮮な気持ちの表れだった。空港内での会見。「去年と比べると楽。リズムが自分の中にあるので全然違う」。右肘じん帯部分断裂で約2カ月半離脱したとはいえ、1年目の経験は、大きな支えとなる。

 昨季は13勝5敗をマーク。今季は黒田(広島)が抜け、田中には開幕投手候補の声も上がる。しかし、本人は冷静に現状を見つめる。「メジャーで30人しかいないわけですし、スペシャルなものだと思う」と言いながらも「今の自分にはそこまで考えてるところはない」。開幕の大役よりも、1シーズン通して働くことを重要視する。

 世界一への青写真はインプット済みだ。今季は開幕が例年より遅く、ワールドシリーズは10月28日開幕で、第7戦は11月5日となる予定。第4戦が行われる11月1日に27歳の誕生日を迎える右腕は笑みを浮かべながらも、まなざしは強かった。

 「無事に誕生日を迎えられればそれでいいけど、そういう日程でワールドシリーズがあるのはなかなかないことなので、もちろんできればいい」

 大リーグでワールドシリーズが11月までもつれ込んだのは、過去3度しかない。そのうちヤ軍は2度進出。「史上初」となった01年は世界一こそ逃したが、ジーターが日付が11月1日に替わった直後にサヨナラ弾を放ち、11月4日まで開催された09年は松井が3本塁打を放ってMVPを獲得した。今年は米メディアも「新たなミスターノーベンバーが誕生する」と伝えている。

 11月まで戦い抜く――。その決意の裏にあるのは、昨季の悔しさ。2年連続でポストシーズン進出を逃したチームは9月28日にシーズンを終え、田中も長いオフを過ごした。誕生日まで戦いが続いたのは、楽天時代の13年。巨人との日本シリーズで王手をかけた11月2日の第6戦に先発し、敗戦投手となった。「誕生日の次の日に登板して見事に負けたので、次は勝ちたい」。最終的には第7戦にリリーフ登板し胴上げ投手となった。その再現となれば「3代目ミスターノーベンバー」襲名も現実味を帯びる。

 右肘の状態は順調そのもの。具体的な日付こそ伏せたが、ごく最近、捕手が座った状態で20球程度のブルペン投球を行ったことを明かし「順調に上がってきているなという感触はある」。捕手を座らせての投球がタンパ入り後の2月13日だった昨年と比べても、仕上がりが早い状態で21日(日本時間同日深夜)のキャンプインに向かう。

 記録的な大雪の影響を受けた昨年は、チャーター機での渡米だったが、今回は一般の航空便を利用。人生で初めて海外で誕生日を迎えるため、田中が旅立った。

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