西武153キロ右腕は“切れは岸 球威は涌井” 初フリーで安打性1本

[ 2015年2月10日 05:30 ]

打撃投手を努める郭俊麟。グラブにはカタカナで「カクシュンリン」と刻まれている

 素材は一級品だ。西武の新外国人、郭俊麟(カク・シュンリン)が、熊代に投じた3球目。低めの直球にバットは動かない。判定はストライク。回転のいい直球が、打者の手元で強烈に伸びた。

 「予想以上に思い通り投げることができた。あとは細かい制球を磨きたい」。フリー打撃に初登板し、熊代、金子侑の2人に計31球で安打性はわずか1本だった。打者の目が慣れていない時期ではあるが、計22度のスイングで前に飛んだ打球は9本。外国人枠を争う右腕が、開幕ローテーション候補に浮上した。

 2日に23歳になったばかり。台湾でプロ経験がなく、新人王資格を持つ。母国で開催された昨年11月の21Uワールドカップでは、台湾代表のエースで優勝に貢献した。最速は153キロを誇り、変化球も多彩。この日も得意のスライダーやブレーキの利いたカーブで空振りも奪った。

 周囲の評価もうなぎ上りだ。フリー打撃で捕手を務めた炭谷は「球の切れは岸さんタイプ。打者が“低い”と思っても最後に伸びて見逃しが取れそう」と評価。1度ブルペン投球を受けた上本も「球の回転がきれいで球威もある。涌井(現ロッテ)みたい」と絶賛し、田辺監督も「優しそうな顔をして、凄い球を投げるね」と話した。

 11日からの第3クール中に行われる紅白戦にも登板予定。日本で通算117勝を挙げた憧れの郭(カク)泰(タイ)源(ゲン)が西武入団時につけていた背番号12を背負う男は、「これからが勝負です」と気を引き締めた。かつて「オリエント・エクスプレス」と呼ばれた先輩のように、ジャパニーズドリームをつかむ。

 ◆郭 俊麟(かく・しゅんりん)1992年2月2日、台湾出身の23歳。国立台湾体育運動大学卒。13年11月10日の侍ジャパンとの強化試合では先発で6回1失点。昨年11月の21Uワールドカップでは、同16日の日本代表との決勝戦に先発して7回無失点。チームの優勝に貢献し、自身も最優秀選手に輝いた。目標の選手は、オリエント・エクスプレスと呼ばれた元西武の郭泰源。1メートル75、70キロ、右投げ右打ち。

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