西野 宝刀「2種類のフォーク」解禁!手首30度で落差に変化

[ 2015年2月9日 09:15 ]

空振りを取るフォークを投げる西野

 育成選手から侍ジャパンの守護神にまで上り詰めたロッテの西野。最大の武器はフォークボールだが、握りを変えずに、落差の違う2種類を状況によって使い分けていた。打者を幻惑する「2種類のフォーク」の極意を探った。

 第2クール2日目、西野が今キャンプで初めてブルペンで「2種類のフォーク」を解禁した。「フォーク、いきます!」。まずは、ホームベースの手前で小さく沈み込む軌道の「カウントフォーク」。捕手・田村が構えた低めのストライクゾーンに寸分の狂いなく3球連続で投げ込んだ。

 続いて田村から「ワンバン!」の声が飛んだ。すると、ホームベースを少し越えた場所にワンバウンドさせる「空振りフォーク」を注文通りに投げてみせた。

 一般的に、大きく落ちるフォークは人さし指と中指で球を深く挟み、落差が小さいスプリットは浅く挟むとされている。だが、西野は握りの深さで落差を変えていない。

 「2種類とも同じ握りで、リリースの瞬間の手首の角度で変化をつけています。カウントを取るフォークは手首を立てた状態で“球を抜く”イメージ。空振りを狙うときは手首を寝かせたまま、下に叩きつけるように投げます」

 角度にして約30度。チームメートの鈴木が「リリースの瞬間に手首の角度を見極めるのはさすがに無理」と話すように、わずかな違いで打者を翻ろうしているのだ。2種類のフォークを支えているのが、西野の最大の武器である精密機械のような制球力だ。

 さらに、球速と軌道にも大きな特徴がある。直球は平均145~147キロで、フォークも140キロを超える。捕手の吉田は「直球とフォークの球速差が、ほとんどない。軌道も途中までは直球と全く同じで、打者のミートポイントあたりでいきなり変化する」と証言する。

 フォークは狙っても捉えるのが難しい球種だ。そのため、昨季は相手チームの多くが「西野のフォークには手を出すな」と指示していたという。だが、2ストライクに追い込んでから、それを逆手にとって「カウントフォーク」で見逃し三振に仕留める場面もあった。

 侍ジャパン・小久保監督は「あの縦の変化は十分に国際大会でも通用する」と絶賛する。抜群の安定感を誇る「育成の星」は今季も「魔球」で強打者たちを苦しめる。

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