松井氏 ランチ特打28スイングで柵越え一発「これで許して」

[ 2015年2月8日 05:30 ]

ランチ特打を披露する松井氏

 ゴジラの置き土産に、キヨシ感激!?DeNAキャンプを訪問している松井秀喜氏(40)が視察最終日の7日、これまで拒否していたランチ特打を行い、28スイングで右越えへ1本の柵越えを放った。フリー打撃実演を懇願していた中畑清監督(61)の熱意に負け、往年のスイングを再現。練習日としては球団史上最多4000人が詰め掛け、練習後には小、中学生限定で207人に約30分間のサイン会も行った。巨人時代の恩師への恩返しを終え、5日間の国内キャンプ視察を打ち上げた。

 打った瞬間、誰もが確信した。12スイング目。往年のスイングが、打球音がよみがえり、高い弾道のアーチが右翼芝生席で弾んだ。推定飛距離110メートル。ゴジラ上陸のアナウンス効果で、練習日ではDeNA史上最多4000人で埋まったスタンドが揺れた。

 「せっかくお客さんがたくさん見に来てくださっていたので。1本だけでも打てて良かったです」

 昨年の巨人宮崎キャンプに続き、2年連続のランチ特打。「中畑監督のごり押しですよね、それだけです」と実演を懇願する指揮官の思いに応えた。前夜はこっそり、DeNA側が用意した現役時代のモデルのバットを持ち帰った。「素振りしようと思ったけど寝ちゃいました」とけむに巻いたが、この日午前には密室の室内練習場にこもり、高田繁GM相手に10分間打ち込んだ。映画「ゴジラ」のテーマが場内に響いた午後1時、巨体を揺らし打席へ向かった。

 投手は巨人時代の後輩・高橋尚成が務め、初球は大暴投。松井氏もバットを放って詰め寄り応戦する「お約束」の演出で、爆笑を誘った。柵越え以降は凡打が続き、中畑監督が「あと5スイングくらいか?」と聞くと、「あとホームランが1本出たら!!」と返す。視界を遮る打撃ケージは外され、熱のこもった10分間、28スイング。柵越え手前だった47球目の打席を終えると、「これで許してください」と自ら終了を宣言した。

 ゴジラの恩返しはなおも続いた。特打直後には、来場している小、中学生全員にサイン会を行うと場内アナウンス。全体練習後、約30分間にわたって207人相手にペンを走らせ「小さいお子さんたちと直接触れ合えて良かった」と笑った。

 午前はブルペンに足を運び投手陣をチェック。打撃練習中は松本に身ぶりを交え指導するなど、最終日も精力的に動いた。巨人新人時代の打撃コーチだった中畑監督の熱意に折れ、実現した今回の訪問。今後は2月中に渡米し、古巣ヤンキースのキャンプ地タンパにも足を運ぶ見込みだが、所属以外の球団ではキャンプ地初視察となった。「非常に新鮮な時間でした。今まで見たことのないチームを見ることができて楽しかった」。南国での異例の3日間は、至る所で確かな足跡を残した。

 ▽昨年の松井氏のランチ特打 宮崎キャンプ8日目の2月9日、投手役の阿部を相手に22スイングで5発の柵越えを放った。右翼席中段への130メートル特大弾も。3万7000人の大観衆を沸かせ、見守った1軍選手に向けこん身のガッツポーズを見せた。原監督や選手から熱望され「打つなら、万全の準備をしてから」と7日から極秘特訓に着手。直前には室内練習場を貸し切り、入念に準備を整えた。

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