福留67発!視察の小久保監督に侍入り志願「冗談にならないように」

[ 2015年2月7日 05:30 ]

侍ジャパン・小久保監督(左)や和田監督(右)らが見守る中、快音を響かせる福留

 阪神の福留孝介外野手(37)が沖縄・宜野座キャンプ第2クール初日となった6日、屋外で初の特打を敢行し226スイングで驚異の67本の柵越えを放った。この日に視察に訪れた侍ジャパンの小久保監督には「侍入り」を直訴するなど、完全復活に向け、ベテランは確かな自信を得たようだ。

 視線を独り占めした。1キロ弱のマスコットバットを手にした福留が南国の空に驚異のペースで放物線を描く。176スイング目の後に一度だけ水分補給した以外は一心不乱に振り続けた。226スイングし右方向を中心に柵越え67本。プロ野球記録の60本塁打した13年バレンティン(ヤクルト)の「本塁打率(本塁打÷打数)」は・137。単純比較できないのは分かっているが、福留は驚異の・296を叩き出し、掛布DCが拍手を送って約1時間に及ぶ打ち込みが終わった。

 「特打なんで、しっかり振って体力を付けたかった。いい感じとはいかないけど、悪くはない。バットは振れていた」

 不振を極めた昨季前半とは明らかに打球の質が変わっていた。ラインドライブがかかる打球が激減し、今までファウルになっていた打球がポール際に吸い込まれていった。見守った和田監督も「体に相当、キレがある。3回目のキャンプで一番良い。バットが体に巻き付くようになっている。下半身がしっかりしている証拠。回転で打てている」と、目を細める好内容だった。

 13年に左膝手術し、復帰後には右ふくらはぎを負傷。そんな影響もあり、昨年は不安を抱えたまま春季キャンプに参加した。加えて昨季は開幕3戦目で西岡と激突したこともあって阪神移籍後では初めて打撃不振で2軍降格の屈辱を味わった。ただ、シーズン終盤には打撃フォームを微調整した甲斐もあり勝負強い打撃を見せ、きっかけをつかんでいた。

 オフには15年シーズンの抱負として03年以来となる全試合出場を目指す決意表明もした。ここまでは、順調にキャンプを送っている。それゆえ、視察に訪れた侍ジャパンの小久保監督には代表メンバー入りを志願した。「それぐらいの意気込みを示さないと。冗談にならないようにやっていく」と話す目は決して笑っていなかった。小久保監督も「福留の状態の良さはわかった」とうなずき、球場を後にした。

 今年4月で38歳を迎えるが、まだまだ老け込む年齢ではない。限界を決めない限り、福留の飽くなき挑戦は続いていく。レギュラー死守、そして侍ジャパン入りへ、燃える猛虎のエイトマンに不安は見当たらない。

 ▼阪神・掛布DC(特打で順調な調整を見せた福留に)今年はいい。体が開かなくなった。オープンスタンスにして右肩の入り具合がよくなった。若手が出てくれば休ませながら常にいい状態で試合に出られるようになるのでは。

 ≪福留の日本代表VTR≫福留は五輪とWBCに計4度出場。社会人の日本生命に在籍した96年アトランタ五輪で銀メダル、中日時代の04年アテネ五輪で銅メダルを獲得している。06年の第1回WBCでは主に3番で起用されたが、1次リーグ3試合で10打数1安打と低迷。スタメン落ちした準決勝の韓国戦で先制の代打2点本塁打で決勝進出に大きく貢献すると、決勝のキューバ戦でも代打で2点適時打を放ち、ここ一番での勝負強さを見せつけた。カブス在籍の09年第2回WBCでは、大会を通じて20打数4安打、打率・200の不振。主力野手では唯一の打点なしに終わり、決勝の韓国戦でも出番はなかった。チームは延長戦を5―3で制して大会2連覇を果たしている。

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