松坂に恩師から3つのアドバイス、密室ブルペン招かれた東尾氏見た

[ 2015年2月2日 08:40 ]

報道陣をシャットアウトしブルペンで投げる松坂

 プロ野球は1日、宮崎、沖縄の各地で12球団が一斉にキャンプインした。9年ぶりに日本球界に復帰したソフトバンクの松坂大輔投手(34)は、報道陣をシャットアウトしてブルペンに入り、捕手を立たせて100球前後投げた。松坂が西武入団当時の監督で、スポニチ本紙評論家の東尾修氏(64)は松坂の要望もあって投球を目の前でチェック。松坂に投球フォームに関して3つのアドバイスを送った。

 全ての練習が終わった後だ。松坂はブルペンへ1人で向かった。シャドー投球でマウンドの感触を確認した後、100人近くいた報道陣に「退出していただいてもよろしいですか?」と切り出した。午後2時38分。扉が閉じられた。

 密室ブルペン。捕手を立たせて約30分間、投げ込んだ。投球を目撃したのは球団スタッフらごく数人。その中には東尾氏の姿もあった。西武入団1年目の99年から監督を務めた恩師。松坂は東尾氏の目の前のブルペンに移動し、チェックを求めた。「その形いいじゃないか。それなら左足が遠回りせずに上がる」。背番号18はうなずいた。かつての「監督と選手」の関係がタイムスリップしたかのようだった。

 東尾氏は3つのポイントを指摘した。まずはワインドアップ時の姿勢。本塁へ正対して振りかぶるのではなく最初から三塁方向へと左肩を入れて振りかぶる形だ。

 東尾氏 これまで左足が外から回す形で上がっていた。それでは体をひねる形になって、左肩の開きが早くなる。本人がしっかりと考えているなと感じた。

 確認作業だけではなく、2つのアドバイスを送った。

 東尾氏 左足を上げた時の右足の間が大事。この間がないと、右腕が上がりきらないうちに踏み出した左足が地に着いてしまう。

 ソフトバンクの王貞治球団会長の一本足打法も、軸足である左足に間があったことを引き合いに出し、トップの位置まで肘が上がる時間が大事だと説いた。3つ目は、右肘の使い方だ。

 東尾氏 背中方向に入ると、肩が回らず、右肘を上げづらくなる。この3つはバラバラではなく、全て連動する形をいかに体に染みこませるかが大切になる。

 フィニッシュの際の右腕が左腰に巻き付く形にも話は及んだ。松坂は東尾氏に「メジャーの時は左腰から脇にかけて2カ所にアザがあった」と明かしたという。良い時は右肘が高く上がるためアザは左腰にできる。ただ肘が上がりきらないと体は横振りになり、左脇に近い位置に出る。松坂は「貴重なアドバイスを頂いた。僕が考えている点と一致した」とスッキリした様子だった。

 松坂は「集中してやりたかった。修正していく時の姿はきれいな形ではないから」と「密室投球」に理解を求めた。当初は初日のブルペン入りを否定していたが「スパイクでは力が入るから」と高ぶる気持ちを抑えるようにアップシューズで投球。ファン、報道陣へのお披露目は5日からの第2クールとなる。

 9年ぶりの日本でのキャンプ。7時間に及んだ一日は、松坂にとって濃密だった。

 ≪松坂のキャンプ初日≫

 ☆迷子 本球場でのアップ後サブグラウンドへの移動の際にキョロキョロと見回し「迷子になりました」と苦笑い。練習の全体的な流れも分からず、報道陣に「練習メニュー見せて!」とお願い。

 ☆一発合格 工藤監督発案で全選手に課された「2700メートル、12分以内」に挑戦。同走した4人中で4位も「何とか一発合格しました。追試はありません」と安ど。

 ☆大パニック バスで宿舎に戻る前にサインをしようとするとファンが殺到。選手とファンを分けるポールが2本折れてしまう事態に。「時間があるときにサイン会という形に」とファンの熱にビックリ。

 ☆いじられ役 昨年末に食事をした摂津から「先輩、いじっていいですか?」と宣言される。松田からは「先輩、あすは会見をファウルグラウンドではなく、ホームベース上でやってください」とむちゃぶり。「僕もいじられる方が気が楽。本当にいいチームです」とナインの心遣いに感謝。

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