広島・新井“原点”で砂まみれも「まだ本気は出していません」

[ 2015年2月2日 05:30 ]

特守で悔しがる新井

 広島の日南春季キャンプでは、8年ぶりに復帰した新井貴浩内野手(38)が1日目から異例の特守を志願した。原点回帰を有言実行するように取り組んだ70分間、約200球の三塁ノック。天福球場で鍛えられた若手時代を思い起こし、新井らしく汗と泥にまみれる日々が始まった。

 今春に新設された右翼後方の室内練習場で午後2時前から始まった三塁特守は、当初の予定にはなかった。1軍キャンプ参加選手では最年長38歳の新井から言い出した。ノッカー役は永田総合コーチに頼んだ。新人だった16年前の2軍守備走塁コーチだ。「昔を思い出した」。2人で口をそろえた。「初心に戻る」の心意気を実践するように懸命に打球を追った。

 終了の時間を決めていなかった。滴る汗とともに熱を帯び、張り切り過ぎを心配する永田コーチから「まだ初日だぞ」と冷やかされても「まだ本気は出していませんから」と返した。途中、疲労で動きが鈍った両足を柔軟体操でほぐし、再び立ち上がった。約70分間が経ち、約200球で満杯だったカゴが最後は空になった。「いい感じで足が張った」。必死に呼吸を整え、強がりも込めて笑った。3日からは若手に交じって早出特守に加わることも決めた。

 「監督にも言われた。『最初は打つことよりもノックを受けて下半身を一からいじめていこう』と。それを意識して取り組んでいきたい。下半身の強化になる。しっかりやっていきたい」

 8年ぶりに踏みしめた天福球場の光景が若かりし日々の記憶を呼び起こした。「ここで鍛えてもらった」。練習前のセレモニーでは新入団選手の1人として紹介され、歓声に迎えられた。午前中のベースランニングでは軽快な疾走で後輩たちのどよめきを誘った。エルドレッド、グスマン、梵とともに参加した“ランチ打撃”では右方向への打球を意識した計50スイングで感触を確かめた。

 「バランスよく振れたと思う。全体的に思った通りに動けた。打つ、守る、走る、すべてを一から鍛えたい。実績は過去のもの。もう忘れた。いま、そして、これからが大切。実績は関係ない。いいポジション争いをしたい。高いレベルで争えばチーム力も上がる」
 赤いユニホーム姿は初日から「違和感なく」とけこんだ。練習後にサインに応じたファンの輪から飛んだ「帰ってくるのをずっと待っていたよ」の声が胸に染みた。

 ▼広島・梵 ベースランニングでも盛り上げてくれた。新井さんの人柄だと思う。いるだけで盛り上がる。

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