天国のキムタクさんに誓った…オリ谷 集大成2000安打を あと77

[ 2015年1月17日 08:50 ]

宮崎県内で自主トレを行っているオリックス・谷

 タク、天国で見守っていてくれ…。オリックス・谷佳知外野手(41)が、巨人時代の盟友である故木村拓也氏(享年37)に、あと77本としている通算2000安打達成を誓った。自身の大記録とともに、チームにとっては17日で阪神大震災から20年が経過して迎えるシーズン。引退覚悟で臨むプロ19年目は、谷の野球人生の集大成となる。

 優しい風が吹いている。谷は今年も特別な場所で一年をスタートさせた。同学年でアテネ五輪でもチームメートだった元巨人の木村拓也コーチの実家がある宮崎市。10年に木村氏が急逝し、翌11年から谷は盟友の故郷で自主トレを行うようになった。今年で5年連続。練習施設は故人の実家から車で約15分の距離だ。「タク、俺は元気でやってるよ」――。空を見上げ、心の中で語り掛けた。

 「もしタクが生きていたら“絶対に2000本を打つまで野球をやめるな”と言うと思う。タクのため、応援してくれる人たちのためにも、そこを目指してやりたい」

 今季の個人最大の目標は残り77本に迫った通算2000安打。昨季に8年ぶりに古巣オリックスに復帰したが、生涯打率・297のヒットメーカーが出場9試合で2安打。春季キャンプで左足甲、シーズン後半に右肩を痛めるなどコンディション不良にも泣いた。

 2月で42歳。谷が現役へ強いこだわりを持つのは、「天国の友の分まで」という秘めた思いがあるからだ。巨人時代の09年シーズン終盤、木村氏は現役続行かコーチ就任かで揺れていた。何度も食事に行き、悩みを聞いた。結局、木村氏は現役への未練を断って内野守備走塁コーチに就任。そして、翌10年。「俺は日本一のノッカーになるよ」と誓っていた友は帰らぬ人となった。「あの時、タクは引退するかしないかで本当に悩んでいた。それだけ現役への思いが強かったんだと思う」。そんな友の思いを胸に抱く。

 10年4月24日の「追悼試合」で劇的な代打逆転満塁弾を木村コーチにささげた谷は、遠征などで広島を訪れた際は必ず同コーチの墓前や自宅にも足を運び、由美子夫人や当時は小学生で現在は中学生となった長男・恒希君ら子供たちも気に掛けている。

 同年代で現役を続けている選手は少ないが、谷は「プロは厳しい世界で駄目なら引退しなければならない。でも体が動く限りは現役を続ける」と言う。代謝が悪くなる30代後半からは運動量が落ちるオフに体重が増えやすくなった。40歳を過ぎてからは肉中心の食生活を改善して魚や野菜を積極的に食べるようになった。現在もベスト体重の77キロに近い79キロ。連日、試合用より約100グラムも重い1キロのバットを振り込んでいる。

 チームは19年ぶりの優勝を目指して、今オフに中島、ブランコ、小谷野ら大型補強に成功した。例年以上に厳しい立場となるのは重々承知だ。「何年か前までは(2000安打は)通過点だと思っていた。でも(出場機会が少なくなった)今は“何とか達成したい”という気持ち」と悲壮な決意を語った。天国の友に誓った完全燃焼。プロ19年目の戦いが、もうすぐ始まる。

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