チームマスコットの着ぐるみも経験…中日ドラ8 想定外のプロ入り

[ 2015年1月12日 09:04 ]

山本昌の本を手に入寮した山本雅

 急展開すぎるサクセスストーリーに本人の実感も追いつかない。「自分でも、何をしてこうなったのかはっきり分からないんですよね」。そう言って中日ドラフト8位・山本雅士投手(20)は照れ笑いを浮かべた。

 広島・安芸南では無名の一塁手兼控え投手。プロなど意識したこともなかった。ただ、3年夏の広島大会で敗れた時「もっと野球がしたい」という思いがこみ上げ、父・誠さん(47)に連れられて四国IL・高知の試合を見に行ったのが大きな転機となった。

 しかし、同リーグ・徳島の入団テストは不合格。給料の出ない「練習生」という形で拾ってもらったのが2年前だった。練習参加しながら、時給750円のファミリーレストランで生活費を稼ぐ日々。「一人暮らしもアルバイトも全部初めてだったので、正直、最初はきつかった」。公式戦には出られず、夏場の試合はチームマスコット「Mr・インディー」の着ぐるみに入ってポーズを取るのが仕事だった。

 それでも、何とか選手になるため、少ない休日にはジムに通った。「一日の練習内容を自分で考えられるようになってから、良くなった」。肉体強化の成果もあり、2年目の昨年4月に念願の選手契約。そこから素質が一気に開花した。

 持ち味は独特の間合いから投げ込む最速146キロのストレートと、打者に向かう強い気持ち。雑草育ちの20歳だけに伸びしろは計り知れない。

 同じ山本「マサ」と呼ばれる大先輩はドラフト5位の下位指名から「球界のレジェンド」まで上り詰めた。こちらはたった2年間で全くの圏外からプロ入りを果たした8位指名右腕。サクセスストーリーはプロでも続いていく。

 ◆山本 雅士(やまもと・まさし)1994年(平6)11月3日、広島県生まれの20歳。安芸南では甲子園経験なし。13年に練習生として四国IL・徳島入り。選手登録された昨季は先発、中継ぎ、抑えを全て経験し31試合で4勝5敗6セーブ、防御率2・54。尊敬する選手は楽天・則本。1メートル73、78キロ。右投げ左打ち。

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