西武ドラ1高橋光 同期ごぼう抜き サル、シカ相手に鍛えた身体能力

[ 2015年1月10日 05:30 ]

ダッシュで俊足を披露し、チームメートを抜く高橋光(左端)

 西武の新人合同自主トレが9日、埼玉県所沢市の西武第2球場で始まり、ドラフト1位・高橋光成(こうな)投手(前橋育英)が、野性味あふれる走りを披露した。ダッシュでは同期をごぼう抜きするなど、群馬県の山中でサル、シカなどを追いかけることで鍛え上げてきた健脚を発揮。7日の入寮では総額30万円のブランド品で着飾るシティーボーイぶりで驚かせたが、今度は「野性児走法」で首脳陣の度肝を抜いた。

 スタートダッシュでは出遅れた。それでも巨体を揺らし、瞬く間に他の新人5選手をごぼう抜きした。バランスは悪いが、なんともダイナミックなフォーム。高橋光は200メートル走10本、100メートル走20本のハードメニューほとんどを先頭で走りきり、「実家のすぐそばに山があるんです。小さい頃にサルとかシカを追いかけていたので、生きました」と胸を張った。

 1メートル89の長身ながら、50メートルは6秒3を誇る。この脚力を生んだのが、幼い頃の環境だ。群馬県沼田市の実家は皇海山(すかいさん)のお膝元。すぐそばで祖父母がリンゴ農園を営む。高校の寮に入るまでは山登りをしたり、山から農園に下りてきたサルやシカやタヌキを追いかけて遊んだという。近くには川もあり、銛(もり)でイワナやヤマメを捕獲。「銛で突くのが好きでした」と、自慢げに現代っ子らしからぬエピソードを披露した。

 これには視察に訪れた渡辺久信シニアディレクター(SD)もほれぼれとしていた。群馬県新里村(現桐生市)出身の同SDは「俺もそうだった。群馬の山の中で木登りとかして遊んでいたら、自然と身体能力が身につくもの」と力説。田舎育ちの自身も幼い頃から鬼ごっこでは、鬼に捕まった経験がないという。「本当の鬼として恐れられたものだ!」と笑い飛ばした。

 キャッチボールでは、田辺監督ら1、2軍の全首脳陣の前で約70メートルの遠投を披露した。2月1日からの春季キャンプではB班(2軍)スタートが有力だが、指揮官は「(A班に連れて行ったら)絵にはなるんじゃない」と、合同自主トレで見極める方針。指導した坂元トレーニングコーチも「動き、バランスが整っていないので、逆に凄い馬力。まだまだ伸びる」と太鼓判を押した。自主トレ初日から底知れぬ可能性をアピール。充実感たっぷりに汗をぬぐった17歳は「体幹や腹筋を鍛えたい。キャンプをいい状態で迎えたい」と言葉に力をこめた。

 ▽皇海山 群馬県沼田市と栃木県日光市の県境にあり、標高は2144メートル。紅葉がきれいで、百名山の一つとしても知られる。平安時代から鎌倉時代にかけて開山され、山岳仏教の修行地となったと伝えられる。

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