西武・外崎“リンゴ・スター”目指す!実家は農園「両親に恩返しを」

[ 2015年1月7日 12:08 ]

若獅子寮に到着し、バットを手に燃える西武のドラフト3位・外崎

 プロ野球の球春を告げる2月1日のキャンプインまで約3週間。6日は西武、巨人、阪神、ヤクルトで昨秋のドラフト会議で指名された新人選手が入寮し、球界も活気づいてきた。話題のルーキーを紹介する「2015 新士録」の第1回は青森のりんご農園で育った西武のドラフト3位・外崎修汰内野手(22)。

 「リンゴ・スター」になって、恩返しする。埼玉県所沢市の若獅子寮。新たな一歩を踏み入れた外崎は「母親が泣きそうになりながら“頑張ってこい”と送ってくれました。やっとスタート、気合が入ります」と顔を紅潮させた。

 野球ができる喜びを感じている。実家は青森県弘前市でリンゴ農園を経営。だが、91年9月に台風19号(別名「リンゴ台風」)で実家のリンゴが全滅した。背負った借金は今も続いている。外崎はその翌年に生まれた。両親は「好きなことをさせてやりたい」と、無理をしてまで野球を続けさせた。中学のシニア入団時には新たな借金をしてまで硬式用グラブを買い与えたという。高校卒業までの6年間大切に使ったそのグラブは、段ボールに詰めて寮に送った。間もなく届く予定で「大切なグラブ。ボロボロですけどお守りなんです」と心待ちにしている。

 弘前シニアでは1学年上の菊池(盛岡東シニア)とも対戦し、球威に衝撃を受けたという。その左腕とも同僚になる。富士大では主将を務め、4年秋は打率・432で北東北大学リーグ首位打者に輝いた。走攻守そろい、広角に打ち分ける右の好打者。同じ内野手で憧れの松井稼(楽天)も過ごした地に到着し「借金があるのに、野球を最後までやらせてくれた。家族は相当大変だったと思う。恩返しをしたい」と燃えている。

 渡辺久信シニアディレクター(SD)からは、毎年11月のファン感謝イベントでのリンゴ販売を提案された。これまで収穫を手伝い、「蜜があって甘いんです」と自負するリンゴだ。「家計的にも助かると思うので、やってみたい」。スターになれば、外崎リンゴも売れる。開幕1軍。その思いだけは強く持ち続ける。

 ◆外崎 修汰(とのさき・しゅうた)1992年(平4)12月20日、青森県弘前市生まれの22歳。桔梗野小4年時に軟式野球を始め、弘前四中では弘前シニア、弘前白神シニアに所属。弘前実では1年春から正遊撃手で、3年夏は青森大会3回戦敗退。甲子園出場なし。富士大では4年時に主将で二塁手を務め、北東北大学リーグで春・秋連覇。12年秋に打点王、14年秋に首位打者。1メートル77、75キロ。右投げ右打ち。

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