巨人・阿部の「一塁手転向」決断(1)首痛で不振「最後の手段」

[ 2014年12月26日 09:00 ]

8月7日のDeNA戦、今季初めて一塁で出場した阿部

 巨人・阿部慎之助捕手(35)が来季は一塁に転向する。今季は開幕から極度の打撃不振に陥り、8月から一塁での出場が増えると徐々に復調。来季は打棒復活を誓い、自らの引退を懸けて臨む。日本球界を代表する捕手が、キャッチャーミットを置く決断を下した裏側には何があったのか。阿部にとって「捕手」とは何なのか。今季初めて一塁で出場したのは8月7日のDeNA戦(横浜)だった。

 試合開始の約2時間前。阿部はホワイトボードに書かれたスタメンを見て、目を丸くした。「えっ!俺、一塁なの?」。今季94試合目となった8月7日のDeNA戦。正捕手は、今季初めて一塁手として先発出場した。

 心の奥底では予感していたのかもしれない。この試合前まで84試合に出場し、打率・249、10本塁打、33打点。一向に復調の気配は見えず、暗闇の中でもがき続けていた。不振の最大の原因は、開幕直前に発症した首痛だった。「一日中、憂鬱(ゆううつ)だった。試合中も首をひねってストレッチして集中できず、首痛とばかり闘ってしまっていた」と漏らす。

 原因が分からず、病院を何軒も回った。その度に患部に痛み止めの注射を打ち「医者が“もう(注射は)やめた方がいいんじゃないか”って言うぐらいだった」。不安に駆られて睡眠時間も減った。早朝に目が覚めても金縛りに遭ったように動けず、自分の手で髪を引っ張って起き上がったこともあった。トレーナーと相談し、ケアだけでなく、手で負荷をかけながら首を上げるなど首回りの筋力強化にも取り組んだ。

 攻守の要である阿部の復活は、リーグ3連覇を目指すチームにとっての最重要課題だった。交流戦期間中の6月頃、首脳陣からこんな声が上がり始めた。「阿部の打撃を復調させるためには一度、一塁手にして負担を減らし、打撃に集中させるしかないのかもしれない」。ベンチには開幕から限られた出場機会の中で存在感を発揮する新人捕手の小林が控えていた。

 8月5日のDeNA戦(新潟)。先発マスクをかぶった阿部は、先発・小山の配球が偏り、2回までに5失点。打っては3回まで2打席連続で凡退した。原監督は3回の攻撃終了後、精彩を欠く主将を早々とベンチに下げ、小林を送り出した。「懲罰交代的だったね」と阿部も認めて反省する。結局、延長12回の末にサヨナラ負けを喫した。

 その2日後。指揮官は覚悟を決めた。「慎之助が攻守にわたって良いものを出さなければ、このチームは前に進んでいかない」。阿部を一塁で起用することを決めた。心と体の負担を軽くするだけでなく、練習時間を増やして体の切れを取り戻させる狙いもあった。原監督は「今年の一番の決断だった」と証言する。

 「ついにこの時が来たのか…」。阿部自身も打撃復活への「最後の手段」と感じていた。しかし、一塁手での出場は昨年7月25日の広島戦(東京ドーム)以来。事前に何も告げられることなく、慣れないファーストミットを携えてグラウンドに立った阿部は動揺していた。=続く=

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