巨人・鈴木 スケート五輪金清水氏に学ぶ 目標は盗塁成功率100%

[ 2014年12月24日 05:30 ]

世界一の技で来季も進化!金メダリストの清水宏保氏(左)の指導を受けながらトレーニングに励む鈴木

 巨人の鈴木尚広外野手(36)が23日、親交のある98年長野五輪のスピードスケート男子500メートル金メダリストの清水宏保氏(40)と合同トレーニングを行ったことを明かした。今月中に川崎市のジャイアンツ球場で、清水氏から上半身と下半身を連動して動かす体の使い方などを指導された。世界の頂点を極めた男から爆発的な瞬発力を生み出す極意を伝授され、来季は盗塁成功率100%を目指すことを誓った。

 少年のように瞳を輝かせた。進化へのヒントを得たからだ。鈴木は金メダリストの清水氏から「まだまだ伸びしろがある」と太鼓判を押され、究極の目標を口にした。

 「まだ使えていない筋肉があると肌で感じた。これができるようになれば瞬発力も高まる。(来季は)限りなく盗塁成功率を100%にしたい」

 清水氏は男子スピードスケート500メートルの元世界記録保持者。「ロケットスタート」が代名詞だった。その極意は腹筋の使い方にあった。鈴木はおなかの前面を覆うように付着している腹直筋だけでなく、両サイドの外腹斜筋も意識するように指摘された。清水氏は「外腹斜筋を使えるようになれば、上半身と下半身を連動してより楽に足が上がるようになる。反応スピードも高まる」と説明。「膝下から動かすのではなく、肋骨の下あたりから動かすイメージ」とポイントを力説しながら、2人で歩行や重心を低くした状態でのサイドステップを繰り返した。

 鈴木は今季通算200盗塁を達成し、代走での盗塁数(113)はプロ野球新記録となった。何度も勝利を決定づける生還を果たし、リーグ3連覇に貢献。セ・リーグMVP投票では1位票を3票獲得するなど全体10位のポイントを集め「陰のMVP」と称された。今季は11盗塁を決め、2度失敗。プロ18年間で最高の盗塁成功率は03年の・947(19度企画し18度成功)だが「勝負どころで必ず決められる選手になりたい」といまだ一度も達成していない100%を見据えている。

 今オフも貪欲に新たな練習を導入した。清水氏の勧めで、同氏が現役時代に取り組んでいた「ワットバイク」と呼ばれる室内バイクを11月から自宅に設置し、毎日乗る。軽い負荷で全力でこぎ、爆発的なスタートができるように神経系を強化。さらに毎週1度、2~3時間走を実施し、スピードを維持する筋持久力の向上にも励んでいる。

 今季の鈴木の走塁映像を見た清水氏は「筋肉はまだ部分的にしか使えていない。もともとの素材はあるので、3カ月もあれば動きをマスターできる」と期待を寄せ、鈴木も「盗塁のスタートとスケートは横の動きで共通している。体の使い方が変わればスピードも上がると思う。1カ月半でものにします」と言い切った。世界一の技術を習得し、誰にも阻止できないスピードスターになる。

 ≪セでは02年仁志(巨)が最後≫鈴木(巨)の今季盗塁成功率・846は、セで10盗塁以上の選手では荒木(中)に次ぎ2位タイだった。なお、シーズン10盗塁以上で成功率100%を達成したのは12年の福田(ソ=13盗塁)、セでは02年の仁志(巨=22盗塁)が最後となっている。

 ◆清水 宏保(しみず・ひろやす)1974年(昭49)2月27日、北海道生まれの40歳。4歳からスケートを始める。白樺学園から日大を経て三協精機―NEC―コジマ所属。94年リレハンメル大会から4大会連続五輪出場。98年長野大会で500メートル金、1000メートル銅。02年ソルトレークシティー大会で500メートル銀。500メートルでは世界記録を4回更新しW杯通算優勝回数は34回。10年に現役引退し、現在はスポーツコメンテーターなどで活躍。

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