大谷の「二刀流2年目」(3)メジャーも認めた三振ショー

[ 2014年12月21日 07:40 ]

メジャー相手に4回7Kと強烈なインパクトを残した

 日本ハム・大谷は尊敬する選手を問われると、真っ先に今季限りで現役引退した稲葉を挙げる。10月17日の「5番・DH」でスタメン出場したCSファイナルS第3戦(ヤフオクドーム)。ベンチでその大先輩の横に座ると、ある指摘を受けた。「投手の時のおまえはつまんない。もっと気楽に投げろ」。野手の時と比べ、どこか緊張感が漂う「投手・大谷」は「“周りの人から見たらそうなのか”と思った。言ってもらえて良かった」と感謝を口にした。

 それから2日後の同19日の第5戦。負ければシーズン終了の大一番だった。レギュラーシーズンでは一度もなかった野手出場後から中1日で投手として先発したが「あの言葉があったから、前日から気持ちをつくり過ぎることがなかった。試合前もロッカーで普通に話すことができた」。2イニング目に突如打ち込まれ4失点したものの、その後は無失点に封じ、7回12奪三振の力投で勝利を呼び込んだ。

 「打たれたけど、最後の最後で稲葉さんに大事なことを教えてもらった。最低限の力は発揮できた」。試合前も、ベンチ前で稲葉から「きょうは楽しくやろうや」と声を掛けられ、大谷も「はい」と答えた。第6戦で敗れ、2年ぶりの日本シリーズ進出は逃したが、大一番で結果を残したことは自信になった。

 侍ジャパンの一員として出場した日米野球でもその自信を力に変えた。11月12日の第1戦(京セラドーム)で8回に登板。2死からゾブリスト(レイズ)の初球に思い切り腕を振り「今年、球速を出しにいったのは球宴と日米野球のこの1球。159キロしか出なかったけど…」と苦笑いを浮かべたが、1回無失点に封じた。先発した同18日の第5戦(札幌ドーム)では4回を投げ7奪三振。大リーグ選抜に強烈なインパクトを残した。

 第1戦の前には母方の祖父母が日本人のガスリー(ロイヤルズ)が大谷の元に歩み寄り帽子を交換し、記念撮影。大谷の投球を見たハンター(オリオールズ)からは「グラブを交換してほしい」とねだられ、グラブを交換した。そんな光景に、打撃コーチを務めた稲葉氏も「楽しそうにやっている。いいことだね」と顔をほころばせた。

 一方で、大谷は実戦で初めて使用したメジャー球に違和感を覚えた。「(滑って)指に引っかからなかった。力を抜いたまま球を保持することができなかった。ずっと力を入れている状態。肘に(負担が)くる感じがした」と最後までなじむことができなかった。将来、大リーグでプレーすることを夢見る右腕にとって、プロ2年目は収穫と課題がぎっしりと詰まったシーズンだった。

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2014年12月21日のニュース