ロッテドラ2田中 運命の背番31 著書で学んだ渡辺俊介から継承

[ 2014年12月12日 06:40 ]

「俊ちゃんを越えろ!」ファンが寄せ書きしてくれた背番号31のユニホームを誇らしげに持つ田中

 ロッテは11日、東京都新宿区のロッテ本社で新人7選手の入団発表を行った。ドラフト2位指名で京大から初のプロ野球選手となった田中英祐投手(22)の背番号は昨季まで在籍し「ミスターサブマリン」と呼ばれた渡辺俊介投手(38)が背負っていた「31」に決定。米独立リーグを経て、今オフはベネズエラリーグでプレーする渡辺からサプライズの激励メッセージも届き、ロッテを代表する投手に成長することを誓った。

 入団発表会が始まる約30分前。田中は球団スタッフから真新しい「31」のユニホームを手渡された。プロ野球選手という夢をかなえた実感をかみ締めると同時に、一時代を築いたサブマリンと自らの姿を重ね合わせた。

 「鏡で見て、“細いな!”と思った。でも、31番をつけていた渡辺俊介さんは体が大きくなくてもロッテを代表する投手になった。このユニホームと背番号が早く似合うようになりたい」

 サプライズも待っていた。ベネズエラリーグのレオネス・デル・カラカスでプレーする渡辺から激励のメッセージが届いたのだ。京大初のプロ野球選手として注目を集める秀才右腕が31番の「後継者」になることを伝え聞いた渡辺から10日の夜、球団スタッフのもとに1通のメールが届いた。

 「野球選手にとって背番号は名前のようなものです。“しゅんすけ”ではなく“えいすけ”の番号としてロッテの31番という名前をもっともっと大きな存在にしてくれると期待しています」。田中は1メートル80、75キロと細身だが、渡辺も入団時は1メートル77、70キロだった。それでも38歳になった今も現役でプレーしており「自分も長くプロで活躍したい」と目を輝かせた。

 背番号31を受け継いだのは運命的でもあった。高校1年の時、渡辺の著書「アンダースロー論」を書店で見つけて購入した。「調子が悪い時にビデオを見て足の上げ方が変わっていることに気がついて復調したという話が書いてあった。自分をよく理解し、分析して工夫してやることの大切さを知った」。この本を参考にし、投球フォームを研究。それから7年がたち、最速で149キロを投げるまでになり、プロ野球選手になった。

 入団発表前には本拠地のQVCマリンを見学。マウンドにも上がり、マリン特有の5メートルの海風を肌で感じた。かつて渡辺は「風の魔術師」と呼ばれた。下手投げから緩急自在。風を利用し、通算87勝を挙げてエース格になった。田中は上手の本格派でタイプは違う。それでもカーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、カットボール、ツーシームと多彩な変化球も操る。強風を味方にすれば武器になるだけに「使えるものは使いたい。先輩たちにも聞いてみたい」と目を輝かせた。

 夜に千葉市内で開かれたファンお披露目式では「英祐コール」を浴びた。高学歴で話題が先行気味だが、きっぱり言った。「これからはプロ野球選手として頑張っていく。京大初というのはあまり意識していない」。その言葉に決意を感じた。

 ▼ロッテ・伊東監督(田中と初対面し)俺は厳しいぞと言った。京大の田中ではなく、一人のプロとして頑張っていこうという気持ちが強いと思う。

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