目標は春夏甲子園での採用も…タイブレーク まずは来春地区大会限定

[ 2014年11月28日 06:20 ]

79年夏、延長18回の激闘を制した箕島

 日本高野連は27日、大阪市内で理事会を開き、延長戦で人為的に走者を置いて試合の早期決着を図るタイブレークを、来年の春季地区大会で一律に導入することを決めた。延長のどの回から始めるか、走者を何人置くかなど詳細は来年1月末をめどに決定する予定。

 技術・振興委員会の相沢孝行委員長は「選手の健康管理と大会のスムーズな運営方法を解決するための方策。大きな一歩を踏み出した」と話した。高野連は今夏、「早ければ来春の選抜大会で導入」の可能性を視野に、選手の健康管理に関する全加盟校対象のアンケートを実施。投手の投球回数や投球数の制限は1割程度の賛意しか得られなかったが、タイブレークは消極的賛成を含めて約半数の高校が肯定的に捉えた。その結果を踏まえて10月の技術・振興委員会で議論。当初は春季都道府県大会を含めた導入を目指したが、「時期尚早」という地方の反発に遭い、合意は得られず、既に関東と北信越で導入されている地区大会のみで実施する修正案を採用することに落ち着いた。

 このため、今回の春季地区大会のみの一律導入は、日本高野連と現場サイドの双方が最大限譲歩した結果ともいえる。ただ、全国を9地区に分けて実施する春季大会の勝敗は春夏の甲子園大会には直結しない。試合の流れを寸断するタイブレーク方式は甲子園大会や、それにつながる地方大会での採用はさらなる反発が予想される。日本高野連の竹中雅彦事務局長は「大きな改革なので、現場の声を聞きながら一歩一歩やっていかざるを得ない」とした上で、「(甲子園大会を含め)全ての大会で導入するというスタンスは変わらない」と力説。現実としては、目標とする春夏の甲子園大会での採用に向けては多難な船出となった。

 ▽タイブレーク 野球やソフトボールで、早期決着を目的に延長戦で人為的に走者を置く特別ルール。高校野球では明治神宮大会、国体などで導入されており延長10回以降の攻撃を1死満塁から開始する。社会人の都市対抗大会では2003年から実施。国際大会では08年北京五輪や、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも09年の第2回大会から採用された。

 ≪球史に残る甲子園での延長試合≫

 ☆79年夏3回戦、箕島―星稜 延長16回、星稜が勝ち越し、2死まで追い詰められた箕島は森川が一塁ファウルゾーンへ打ち上げ試合終了と思われた。しかし、一塁手が転倒し捕球できず、森川が直後に同点ソロ。最後は18回裏1死一、二塁から上野のサヨナラ打で決着。勝ち上がった箕島は史上3校目の春夏連覇を達成した。

 ☆98年夏準々決勝、横浜―PL学園 5―5で延長戦に突入すると、横浜が勝ち越せばPL学園が追い付く展開で迎えた17回。横浜・常磐が決勝2ラン。松坂は17回250球の完投。横浜はその後、史上5校目の春夏連覇を成し遂げた。

 ☆06年夏決勝、早実―駒大苫小牧 延長15回を終え1―1で決着つかず。夏の決勝としては37年ぶり2度目の引き分け再試合は連投の斎藤が3失点完投勝利。早実が夏初優勝を飾った。斎藤は決勝まで7試合計948球を投げ抜いた。

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