金子“ポスティング併用”で交渉有利に 今後の日本人移籍に一石

[ 2014年11月12日 10:00 ]

FA権の行使を表明する金子

 昨年末に日米間で合意した、いわゆる新ポスティング・システムは明らかに選手側の方にメリットがある。従来は最高額で落札した1球団としか交渉できなかったのに対し、新制度では日本の球団が設定した譲渡金に応じる大リーグ球団全てと交渉できる。限りなくFAに近いものといえる。

 今回、金子が国内FAとポスティングを併用した場合、選手側の選択肢はさらに増え、より有利な立場での交渉が可能となる。オリックスとしては、国内他球団に行かれるよりは、ポスティングを認めた方が確実に高く売れる。ただ、金子の場合、米国での知名度は広島の前田健ほど高くない。仮にオリックスが最高2000万ドルの譲渡金を市場価値よりも高く設定してしまった場合、金子の年俸が国内他球団より低く抑えられたり、あるいは手を挙げてくれないことも考えられる。

 その際に「国内FA」というカードを持っていれば、日米でてんびんにかけることができるし、それは大リーグ球団との交渉材料にもなりうる。

 もしオリックスがポスティングを容認するようならば、譲渡金の適正価格を見極める能力が問われる。大リーグ球団が最高額を払ってでも欲しかった昨年の楽天・田中とは違う。今後、同様のケースが増えてくることは容易に想像できる。金子が現時点でポスティングを希望するかは分からないが、いずれにせよ、選手のFA移籍に一石を投じる事例となるだろう。

 ▽野球協約・フリーエージェント規約第6条(6) 国内FA資格を取得したが海外FA資格を取得していない選手が、FAの権利を行使した場合、当該選手はこの組織のいずれの球団とも選手契約を締結することができるが、それ以外の国内外のいかなる球団とも選手契約について交渉することはできない。この場合、当該選手が旧球団以外のいずれかの球団と新たな選手契約を締結し、かつ、支配下選手の公示手続が完了するまでは、当該選手は、旧球団の契約保留選手と見なされるものとする。(一部抜粋)

 ▽第13条(ポスティング手続の不採用)獲得球団は、国内FAの権利を行使したFA宣言選手について、同選手が当該国内FAの権利を行使しなかったとしたら海外FAを取得したであろう時点までは、日米間選手協約に関する協定のポスティングの手続を採らない。(一部抜粋)

続きを表示

2014年11月12日のニュース