長嶋茂雄氏「野球少年伝道師」で全国行脚へ 故郷佐倉で第一歩

[ 2014年11月10日 05:30 ]

<長嶋茂雄少年野球教室>長嶋氏(左)は篠塚氏(中央)と共に地元野球少年に打撃の熱烈指導を行う

 ミスターが全国の野球少年の伝道師となる。巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(78)による第1回少年野球教室が9日、千葉県佐倉市の長嶋茂雄記念岩名球場で行われ、同市内の小学5、6年生240人が参加。ミスターが手取り足取りで熱血指導した。今回の野球教室をスタートとして、今後は伝説の伊東キャンプのメンバーを中心に全国展開していく方針。少年野球の底上げに長嶋氏も全国各地へ足を運ぶ。

 午前10時過ぎ。グラウンドで実技指導が始まると、もう居ても立ってもいられない。子供たちの元へ歩み寄り、身ぶり手ぶりでミスターの熱血指導が始まった。

 「もっと、こう。肘を柔らかく。そう、そうだ!」。まずはセンター付近で外野手にスローイングでの肘の使い方を教えると、今度は一塁側へ移動して投手だ。講師役の定岡正二氏の指導を見つめながら「力を入れなくていい。投げる瞬間にビュッと」。ストライクが入ると「OK!ナイスボール!」。これには定岡氏が「俺なんか監督に褒められたことなかったのに」。そんな子供たちの上達がうれしくてたまらない様子で、本塁付近へ移動して打撃指導でついに本領発揮となった。

 ティー打撃をネット裏で見ていた時だ。思わずバットを左手に取り、声を上げる。「そう、膝と腰を使って!」。ついには左手一本で何度もスイングして見せた。公の場でのスイングは、今年7月4日のOB対決のセレモニーで金田正一氏の投球を打って以来だ。その姿こそが、少年野球の世代を思うミスターの情熱の表れでもあった。

 「子供たちが大きくなって次へつながる。大事な世代。佐倉に来て、少年たちを見ていいなあと思った。この子たちをしっかり教えることで日本の野球が強くなる」。そんな熱い思いを、まな弟子たちが受け継いで全国へ広げていく。担い手となるのは、この日に講師を務めた巨人OBの篠塚和典氏、松本匡史氏(ともに評論家)ら伝説の伊東キャンプでミスターに徹底的に鍛え上げられたメンバーだ。定岡氏はこのキャンプメンバーではないが、同世代の長嶋チルドレンとして参加。この第1回野球教室をスタートとして、今後は「チーム伊東」を中心に全国で少年世代を対象に野球教室を展開する計画だ。

 関係者によると、ミスターは「ライフワークのしめくくりとして少年野球の底上げをしたい」という思いを強く持っており、それが地元で自身の名を冠した野球教室開催のきっかけとなった。全国展開へ向け「私も行きますよ」と意欲満々だそうで、篠塚氏は「こんな精力的な長嶋さんは久しぶりに見た。長嶋さんの意向を受け、僕たちがやっていくことで現役選手たちも参加しやすくなると思う」と話した。

 生まれ故郷の佐倉から全国へ。「伝道師」ミスターの確かな一歩がしるされた一日となった。 

 ▽長嶋茂雄記念岩名球場 千葉県佐倉市の岩名運動公園内にある野球場。1982年に開場。両翼92メートル、中堅120メートル。収容人数はメーンスタンドが2000人、芝生スタンドが5000人。6基の照明灯が設置されナイター使用も可能。最寄りの京成佐倉駅までは、上野駅から京成本線特急を使用して54分。同駅から球場まで徒歩25分。駅からは「岩名運動公園」行き巡回バスもある。

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