秋山前監督「一番長い、大変な年だった」 万感3度目正力賞

[ 2014年11月6日 05:30 ]

三度目の正力松太郎賞を受賞し笑顔で会見する秋山前監督

 今年のプロ野球の発展に最も貢献した監督、選手らに贈られる「第38回正力松太郎賞」の選考委員会が5日、東京都内で行われ、ソフトバンクを3年ぶりの日本一に導き、今季限りで退任した秋山幸二前監督(52)が満場一致で選出された。賞金は500万円。現役だった西武時代の91年、日本一監督になった11年に続く3年ぶりの受賞。3度目の受賞は巨人・原辰徳監督(56)に並ぶ史上2位タイとなった。

 日本一の歓喜、そして退任から6日目。プロ野球界最高の栄誉を受けた秋山前監督に柔和な笑みが浮かんだ。緊張、葛藤、責任など込み合った感情の渦から解き放たれた達成感があふれていた。

 「今年は(6年で)一番、長いシーズンだった。大変な年だった。だからこそ、今までにない喜びがあった。野球人生でも思い出深い。その中で正力松太郎賞を頂けたのはうれしい」

 西武時代の91年は日本シリーズでMVPに輝き、初受賞。11年は交流戦を含めたセ・パ全チームに勝ち越す「完全優勝」を達成した。今回は苦しみの先の歓喜だ。「毎回ハラハラ、ドキドキしながら落ち着けない状態で采配していた」。オリックスとのマッチレースの末、144試合目で決着した「10・2」。開幕前日に電撃辞任を発表して臨んだ日本ハムとのCSファイナルSも最終戦決着だった。

 バトンを託した工藤新監督へのエールは簡潔だった。「う~ん、強いホークスをつくっていってほしい、だな」。就任会見前日の31日には直接、電話で「大変なこともあるかもしれないけど、しっかり頑張って」と言葉を掛けている。自身ができなかった日本一連覇を背番号81の継承者へ託した。

 戦いを終え、趣味のゴルフを楽しむ余暇もある。2日には4カ月ぶりにコースへ出た。ただ、野球界との関わりを断つ考えはない。

 「ファンの皆さんが、喜んでもらえる野球界じゃないとダメ。WBCや国際大会もある。そういったものに少しでも力になれればと思っています」。まだ52歳。今は「福岡在住の秋山さん」となったが、野球への情熱は衰えていない。

 ▽正力松太郎賞 日本のプロ野球の発展に大きな功績を残した故正力松太郎氏を記念し、1977年に制定された。プロ野球界に貢献した監督、コーチ、選手、審判員を対象に、選考委員会が選出する。受賞者は日本一に輝いた監督が多く、最多は第1回を含めて4度選ばれた王貞治氏。
 
 ◆正力賞選考委員 王貞治(委員長、ソフトバンク球団会長)、田口雅雄(野球ジャーナリスト)、杉下茂(野球評論家)、中西太(野球評論家)、山本浩二(野球評論家=欠席のため委任状) =敬称略、順不同=

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