緒方監督が仰天初指令 上本よ「スイッチ」やれ!相乗効果期待

[ 2014年11月3日 08:00 ]

<広島秋季キャンプ>上本に左打ち挑戦の指令を出した緒方監督

 広島の緒方孝市新監督(45)が仰天の初指令を下した。秋季日南キャンプ第1クール2日目の2日、上本崇司内野手(24)にスイッチヒッター挑戦を命じた。通常メニューの打撃練習こそ本来の右打ちだったが、締めの個別強化練習に入った途端に突然の左打ち指令だ。守備力に高い評価を得る2年生は「やるしかない」と意気込んだ。

 天福球場の陽が傾き始めた午後4時10分。個別強化練習に励む上本に、緒方監督が打撃ケージ裏で声を掛けた。真剣な表情で会話を交わすこと5分間。指揮官は前日1日のキャンプインから選手観察に徹し、短い言葉を掛けることはあっても話し込んだことはない。

 「左でやってみたらどうだ? 嫌ならしなくていいけど、やろうと思うならやってみたら?」

 初指令を下した瞬間だった。直後のローテーションから、上本の挑戦は始まった。右投手と相対する際に左打席へ。昼食後のフリー打撃は投手の右左に関係なく、右打席だけで汗を流していた。それが突然のスイッチヒッター転向だ。これには同僚ナインもあ然とした表情を隠さなかった。

 「1軍で需要のある選手。チーム1、2の守備力を何とか生かしたい。右打ちを止めるわけじゃないけど、相乗効果で面白いものが出て来れば生かすことになるしね」

 緒方監督は両打ち指令の意図をそう説明する。本職は二塁手だが、今季はショート、サードで14試合に出場し、守備率10割の堅守ぶり。一方で打率は1年目の昨季が・077、今季は・286と課題を残していた。

 「今の状態だと中途半端。打率や出塁率がいいわけじゃないし、小細工に長けているわけでもない。内野には年齢の高い選手が2人(梵、木村)いるので、次世代の内野手をつくる上で面白い存在になってほしい」

 指揮官からの突然の仰天指令にも、上本は前向きに受け止める。左打ちは広陵高2年の時に半年間経験があるといい、明大時代にも遊びでたまに打っていたという。自身の可能性を広げる挑戦。この日の練習では鋭い当たりも何本かあった。

 「きょうの感触は悪くなかった。やるしかないな…という気持ちです」

 赤ヘル黄金時代を支えた高橋慶彦、山崎隆造、正田耕三ら、チームには両打ちの名選手を輩出してきた歴史がある。昨秋には菊池も取り組んだ。フリーアナウンサーの中原衣美(えみ)さん(25)と10月25日に入籍し、一層の気合を入れる上本の挑戦に注目だ。 

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