“お祭り男”松田がV打 リーグVのサヨナラ打に続く面目躍如

[ 2014年10月31日 05:30 ]

松田(左)にビールを浴びせる秋山監督

日本シリーズ第5戦 ソフトバンク1-0阪神

(10月30日 ヤフオクD)
 「お祭り男」の肩書がよく似合う。ソフトバンクの松田が、バットでチームに日本一の称号をもたらした。自らのサヨナラ安打でリーグ優勝を決めたオリックスとの「10・2」決戦から、28日後。再び、勝敗を決する殊勲の一打を放った。

 一塁上で両拳を何度も天に振り上げ、3万6000人の大歓声を気持ちよさそうに浴びた。

 「ここで決めないといけないと思っていた。とにかく食らいついていった。本当に良かった」

 息詰まる投手戦が続く中、最高の見せ場は0―0の8回に訪れた。1死一、三塁で、前の李大浩(イ・デホ)が空振り三振に倒れた。ファンのため息が本拠地を支配しかけた。だが、今季のスローガン「俺がやる」そのままに、選手会長が、その空気を一変させた。

 初球を強振したが、空振り。3球で追い込まれた。だが、ここから落ちる球には手を出さず、耐えた。8球目の直球をはじき返すと、打球は二遊間を鋭く抜けた。待望の「1」が、ついにスコアボードへ刻まれた。愛用していたバットがCSで折れ、「しっくりくるのがない。打席の中で試してやっている」という状況の中で最高の結果を残した。

 チーム屈指の「持っている男」も今シリーズでは苦しんでいた。第4戦で先制の2点適時打を放ったとはいえ、打率・133と低迷。こんな状況でもポジティブに考えるのが松田の持ち味だった。「地元で今季の試合を終えられるなんてシナリオ通りでいいじゃないですか。やりがいがありますよ」。この日、球場入りした時から日本一のイメージは出来上がっていた。そして巡ってきたチャンスを手放さなかった。

 3年前の11年にも日本一は経験しているものの、今年は選手会長としてチームを引っ張り、勝ち取った。「日本一になってホッとしました」。ベンチで誰よりも声を出し、チームを盛り上げ続けた一年の最後に最高のご褒美が待っていた。

 ≪チームでは55年ぶり殊勲≫松田(ソ)が0―0の8回に決勝打。シリーズでスコア1―0の試合は12年第4戦の日本ハム1―0巨人以来16度目で、ソフトバンクは今回が初めて。1―0勝利で優勝を決めたのは54年第7戦中日、60年第4戦大洋、07年第5戦中日に次ぎ延べ4チーム目だ。松田は2日オリックス戦でもリーグ優勝を決めるサヨナラ打。リーグとシリーズの優勝決定試合でともに決勝打は58年中西(西鉄)、59年杉山(南海)、73年王(巨人)、78年ヒルトン(ヤ)、95年ミューレン(ヤ)に次ぎ6人目。チームでは杉山以来55年ぶり2人目の殊勲となった。

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