吉村「止まる気なかった」5年わずか2盗塁の男が“足攻”で追加点

[ 2014年10月29日 08:46 ]

<ソ・神>4回1死二塁、阪神・藤浪(左)の暴投で吉村が一気に生還

日本シリーズ第3戦 ソフトバンク5―1阪神

(10月28日 ヤフオクD)
 最近5年間でわずか2盗塁。決して俊足ではないソフトバンクの吉村が「足攻」で追加点を奪った。

 「ホームまで還るつもりはなかったけど、(ボールの)跳ね方を見た時点で三塁を回ろうと思った。止まる気はなかった」

 1―0の4回1死二塁で、打者・細川の場面だ。藤浪が投じた7球目がワンバウンド。捕手の鶴岡が一塁ベンチ方向に大きくはじくと、二塁走者の吉村は全速力でスタートを切った。笘篠三塁ベースコーチは、暴投の行方に気付いていなかった打者の細川に大声を掛けていた。気付くと、既に吉村は三塁ベース目前だった。「腕を回すより先に口で“行け、行け”と言った。いい勢いで来てくれた。きょうは吉村を褒めてください」と笘篠コーチ。吉村も全くスピードを緩めることなく、適時打で本塁を狙う走者と同じようなコースでベースを蹴って一気に本塁へ向かった。ファウルゾーンから鶴岡の必死の送球、藤浪のタッチより一瞬早く2点目の本塁へ左足から滑り込んだ。

 「今年は暴投に関しては“行けるものは行こう”と言い聞かせていた。小さくはじいたものでも(次の塁へ)行かせていた」と笘篠コーチ。本塁後方のファウルゾーンが広いヤフオクドームであることも織り込み済み。秋山監督も「(吉村の)ワイルドピッチの走塁も大きかった」と言った。

 2年前にDeNAから故郷のソフトバンクへ移籍した吉村。常勝チームで人生初の日本シリーズ出場を果たし、この日は7番・指名打者で初スタメン。6回には先頭で初安打となる中前打を放ち3得点の口火も切った。

 走塁に足の速さは関係ない。シリーズの行方を左右するような好走塁で、吉村が大きな1勝をもたらした。

続きを表示

2014年10月29日のニュース