虎　日本シリーズ王手！巨人を３連破　４番ゴメス様Ｖ撃３打点

＜巨・神＞逆転勝利にハイタッチで引き揚げる阪神ナイン

セ・リーグＣＳファイナルＳ第３戦 阪神４－２巨人

（10月17日 東京Ｄ）
　セ・リーグのクライマックス　シリーズ（ＣＳ）ファイナルステージ（６試合制）は１７日、レギュラーシーズン２位の阪神が巨人に逆転勝ち。３勝１敗（巨人のアドバンテージを含む）として、９年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた。マウロ・ゴメス内野手（３０）が打点王の本領を発揮する勝負強さで７回の決勝打を含む２本の適時打で３打点。絶好調の４番がチームを４連勝突破に導く。

　一塁ベース上で、ゴメスは思い切り手を叩いた。何度も、何度も。一気の３連勝。セ・リーグ覇者を土俵際に追い詰めた立役者は、試合後も大きな胸をグッと張った。

　「終盤の大チャンスだったからね。とにかく積極的にスイングすることを考えていたよ」

　同点の７回１死二、三塁。山口の１４４キロの内角直球を強引に引っ張った。「いい直球を持っているのは分かっていたが、うまく反応できた」。打球は詰まりながらも左前へ。決勝の２点適時打。ベンチが、左翼席の虎党が一気に沸き返った。

　「体の疲れはあるけどね。でも、それ（ＣＳ）は自分たちのやることだから。最後まで戦うだけ」。反撃の扉を開いたのも４番のバットだった。２点を追う６回、右前打で出塁した上本が１死から二盗。ここで左前適時打だ。３安打３打点。今季のセ・リーグ打点王は、その称号に恥じない爆発ぶりを見せた。

　東京ドームは大好きな「庭」だ。今季レギュラーシーズンの成績は打率・３４１、４本塁打、１２打点。前日は３三振に終わったが、気持ちをうまく切り替えられたのも「地の利」があればこそ。１メートル８８、１０４キロの巨体ながら、大の飛行機嫌い。ＣＳ直前、フェニックス・リーグ参加のため宮崎に向かう際には、大きな体を縮めて終始おびえていた。着陸の「ドーン！」という衝撃音には額に脂汗を浮かべて周囲をキョロキョロと見回す姿にナインが爆笑。そんな「いじられキャラ」も、グラウンドではこれほど頼りになる男はいない。

　「４番らしい仕事だった」と称えた和田監督の采配もさえた。１点差に迫った６回。代打に起用した福留が同点の適時二塁打を放つと、その後も関本、新井と一気に代打攻勢をかけた。「先に点を取られたが、全く重い雰囲気、空気はなかった。簡単にはひっくり返せないけど、勝負したことに意義がある」。指揮官の信念は７回のゴメスの決勝打につながった。　ＣＳファー　ストＳでは広島相手に白星、そして引き分けコールドで突破。ファイナルＳでは巨人に３連勝と、ＣＳ５試合でいまだ無敗だ。「あした一気に決めたいじゃなく、日々初戦だと思って一戦一戦臨みたい」。和田監督は冷静な口調を崩さないが、この勢いは本物。９年ぶりの日本シリーズ出場まであと１勝。宿敵に事実上の「スイープ（カード全勝）」で引導を渡し、その舞台に立つ。