辞任発表翌日に劇的先勝!秋山監督の花道 逆転サヨナラで開始

[ 2014年10月16日 05:30 ]

<ソ・日>9回1死二、三塁、サヨナラ打を放った吉村(背6)らナインを笑顔で迎える秋山監督(右奥)

パ・リーグCSファイナルS第1戦 ソフトバンク3-2日本ハム

(10月15日 ヤフオクD)
 セ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)が15日、開幕し、パはソフトバンクが1―2の9回1死二、三塁から吉村裕基内野手(30)が中越え2点二塁打を放ち、サヨナラ勝ち。前日に今季限りでの辞任を発表した秋山幸二監督(52)に劇的な白星を贈った。リーグ優勝したソフトバンクには1勝のアドバンテージがあるため、これで2勝。16日の第2戦に勝つか、引き分ければ、日本シリーズ進出に王手をかける。

 土壇場で劣勢をはね返した。1―2の9回1死二、三塁。横浜、DeNA時代を合わせ、ポストシーズン初出場だった吉村のライナーは前進守備のセンターの頭上を越えた。中越え2点二塁打は09年の日本ハム・スレッジ以来CS史上2度目の逆転サヨナラ打だ。ヒーローは歓喜の輪に包まれ、ベンチで喜ぶ秋山監督を視界に捉えた。喜びは何倍にも膨れあがった。

 「もう、本当に強いホークスをつくられてこられた方。その中に入れてもらえて野球ができることに感謝しています」

 お立ち台では今季限りで辞任する秋山監督へ、感謝の言葉を込めた。サヨナラ打は秋山監督の口癖だった「準備」の成果だ。無死一、三塁となり、日本ハムは守護神・増井を投入。それを確認した吉村はベンチから一度、ロッカールームへ戻った。「真っすぐが速いので短めのバットを持ってきました」。最後はフォークだったが、通常よりも、0・5インチ(1・27センチ)短い33・5インチ(85・09センチ)の相棒で確実に捉え、最高の結果を残した。

 横浜時代の08年に34本塁打を放って以降、くすぶってきた和製大砲は12年のオフにトレードで地元・福岡の球団に迎えられた。そこにいたのは少年時代、ダイエーを引っ張ったヒーローだった。「自分はプロなんですけど、スーパースターから掛けられる言葉はファンも他球団の選手も味わえない。幸せだった」。打撃指導を何度も受けてきた。ベンチにいても「打席に立った感覚で助言をいただける」と感謝する。昨秋のキャンプでは外野から三塁へコンバートにも取り組み、7月に右手人さし指骨折で出場選手登録を抹消された松田の穴を見事に埋めた。

 辞任を発表した前日、秋山監督は選手たちに「日本一を目指していこう」と訴えた。一夜明けた初戦。10月2日の最終戦でオリックスを破り、リーグ優勝した時に続くサヨナラ勝利に「最後の最後まで何があるか分からんね。野球は」としみじみと言い、自ら再生させた吉村の活躍には「自分のスタイルを確立できれば、こういう打撃ができる。1打席の集中力もある」と目を細めた。

 勝ち続けることだけが、指揮官との時間を延ばせる唯一の手段。吉村は「監督に喜んでもらえたことが良かった」と漏らした。師弟の戦いはまだ続く。3年ぶりの日本一奪回を果たすまで。

 ≪断然有利に≫ソフトバンクが9回吉村の二塁打で逆転サヨナラ勝ち。プレーオフ、CSのサヨナラ勝利は12年セのファイナルS第5戦で巨人が記録して以来8度目。うちソフトバンクは3度目で日本ハムの2度を抜き最も多くなった。また最終回にひっくり返しての逆転サヨナラ勝ちは09年(2)S第1戦の日本ハムに次ぎ2度目だ。これでソフトバンクはアドバンテージの1勝を加え2勝0敗。日本シリーズを懸けたプレーオフ、CSファイナルSで「2勝0敗」は昨年の楽天以来17度目。過去16度は全て日本シリーズに進出しており、ソフトバンクは断然有利になった。

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