青木のロ軍 一丸魂で5連勝 合言葉は「自軍の船を燃やせ」

[ 2014年10月12日 05:30 ]

<オリオールズ・ロイヤルズ>10回、勝ち越しソロを放ったゴードン(背4)を迎える青木(左から2人目)らロイヤルズナイン(AP)

ア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦 ロイヤルズ8―6オリオールズ

(10月10日 ボルティモア)
 またまた延長勝利だ!ア・リーグ優勝決定シリーズが10日(日本時間11日)始まり、ロイヤルズが延長10回の末に8―6でオリオールズを下した。青木宣親外野手(32)は3回に一挙4得点のビッグイニングにつなげる左前打を放ち、3打数1安打。ワイルドカードで進出したチームは無傷の5連勝で、同一ポストシーズンで4度の延長戦勝利は史上初となった。29年ぶりのリーグ優勝へ、ロ軍の勢いはとどまるところを知らない。

 敵地での白星発進が決まると、青木は半袖のユニホーム姿でベンチを飛び出した。4時間37分に及んだ熱戦。小雨が降り続き気温10度まで冷え込む中、ハイタッチに加わり「今までの試合と違うのは感じた。でもそこでまた引き離せたのはチームの力」とうなずいた。

 好調な2番打者が、突破口を切り開いた。3回1死、1番エスコバルのソロで先制した直後。ティルマンのナックルカーブを捉え、左前へ。四球、安打と打線がつながり、満塁からゴードンの走者一掃二塁打で4得点のビッグイニングとした。

 しかし、6回に4点差を追い付かれ、直後の7回は先頭・青木が四球を選ぶも、代走ダイソンが二盗に失敗。9回には無死満塁の絶好機をつぶした。それでも悪い流れの中で、延長10回に2本の本塁打で勝ち越し。「向こうに流れがいきそうなところもあった。アウェーで、みんなで力を合わせて勝てた」と青木はチームの力を強調した。

 なぜ延長戦に、接戦に強いのか。大リーグ最強ともいえる救援陣の存在は大きい。青木はそこに「ベンチで全員声を出すし、僕も代わってからずっと声を出した。本当にいい雰囲気」と結束力を付け加えた。29年ぶりのプレーオフ進出へ瀬戸際を迎えた9月21日。本拠地全日程を終え、敵地7連戦の遠征へ向かう出発前のクラブハウスにある選手のスピーチが響いた。青木の心は震え、チームが一つにまとまった。

 「決戦で相手の島に上陸したら、あえて自軍の船を燃やせ。勝って敵の船を奪い、自国に戻れ」

 声の主は、6月末に古巣ロ軍に復帰した42歳の大ベテラン・イバネス=写真、USA TODAY。1519年にアステカ帝国(現メキシコ中央部)を侵略したスペインのエルナン・コルテスの言葉を引用し、退路を断つように説いた。以来、チームは11勝2敗。「burn the boats(自軍の船を燃やせ)」は合言葉となった。通算305本塁打の精神的支柱はポストシーズンはここまで登録メンバー外だが、この日もベンチで声を張り上げた。

 「きょうのように最後まで諦めずにやれば、勝てるような気がする」。退路を断った青木にもナインにも、頂点を見据える表情に迷いはない。

 ≪ワールドシリーズ進出確率は100%≫リーグ優勝決定シリーズで初戦を延長戦勝ちしたのは過去13チーム。いずれもシリーズを制しており、ワールドシリーズ進出確率は100%だ。ロ軍はレギュラーシーズンでは30球団最少の95本塁打だったが、ポストシーズンは5試合で7本。うち延長戦での本塁打が4本。レギュラーシーズンでは延長戦の本塁打は1本だけだった。延長決勝本塁打は3本目で、同一ポストシーズンでは史上最多記録となった。

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