ＣＳ初戦初めて勝った！福留“虎の子１点弾”ＰＬ後輩マエケン討ち

＜神・広＞６回、前田健から決勝のバックスクリーン弾を放つ福留

セ・リーグＣＳファーストＳ第１戦 阪神１―０広島

（10月11日 甲子園）
　広島もエースも、一振りで沈めた。阪神・福留が６回に決勝本塁打。過去４度、全てＣＳファーストＳで敗退しているチームを、初の初戦白星と甲子園勝利に導いた。

　「バッティングカウントだったし、思い切っていったろうと。自分の形でスイングすることだけを考えた。打った瞬間に届くと思った」

　狙って打った、会心の一撃の余韻に浸った。１死無走者の６回。マウンドにはＰＬ学園の後輩で、球界を代表する右腕となった前田健。カウント３ボールから、スライダーを強振してファウル。この積極さが伏線となった。スライダーを狙ってきている、と読んだ広島バッテリーが直後の５球目に選択したのは低めの１５０キロの直球。福留は迷うことなく踏み込んで、バックスクリーンに鮮やかに運んだ。

　和田監督も「一球一球集中していた。福留はこういう大舞台で結果を出す選手」と絶賛。９月に打率・３４３、４本塁打をマークした状態の良さ、勝負強さは短期決戦でも健在だった。今季レギュラーシーズン８打数４安打と好相性の前田健から第１打席は右前打、第２打席も四球で出塁。大観衆の声援を一身に集めた。

　この日、母校のＰＬ学園（大阪）野球部が存続の危機に陥っていることが明らかになり、「凄く寂しい」と語ったが、試合ではくしくも高校時代に活躍した甲子園で後輩を相手に貫禄を示した。よく覚えている。中日に所属していた０７年年明け、名古屋市内の自宅に一通の手紙が届いた。「年賀状みたいなものが届いた。これからよろしくお願いします、という内容だったかな」。差出人はＰＬ学園から０６年ドラフト１位で広島入団が決まった前田健。直筆で先輩へ、あいさつを込めた文章が記されていた。自らも上下関係を大切する。「そういうことができるから、プロでもああやって活躍できるんだろうね」と回顧した。

　昨年は同じ舞台で、同じ相手に２連敗で敗退。福留自身も４打数無安打。終戦した第２戦で右ふくらはぎ痛で負傷交代した悔しさもあるだけに「去年は広島の声援に押されているというかゲーム展開もそうだった。きょうはここでやっている声援を味方にしている気持ち良さがあった。あした（１２日）勝って、きっちり２つで返したい」と力強くリベンジを誓った。

　≪ＣＳ初戦初めて勝った≫阪神が福留の本塁打による１点をメッセンジャー―呉昇桓のリレーで守り切り先勝。阪神がＣＳで勝ったのは０８年中日とのファーストＳ第２戦（○７―３）以来６年ぶり２勝目。チームのポストシーズン完封勝利は日本シリーズで６２年第２戦（○５―０＝対東映）、８５年第１戦（○３―０＝対西武）と記録したのに次いで２９年ぶり３度目で、１―０完封は球団史上初めてだ。