星野監督 笑顔の別れ「イーグルスの監督になって本当に良かった」

[ 2014年10月7日 22:43 ]

<楽・オ>笑顔でファンに手を振りながら場内を一周する楽天・星野監督

パ・リーグ 楽天2―3オリックス

(10月7日 コボスタ宮城)
 今季限りで退任する楽天・星野監督が、今季最終戦となった本拠地・コボスタ宮城でのオリックス戦後に行われた退任セレモニーで、選手、ファンらに「さよなら!」と笑顔で別れを告げた。

 2011年から指揮を執り、昨年は悲願の日本一。セレモニーで大型ビジョンに映し出されたこれまでの4年間の軌跡を、星野監督はじっと見つめた。松井稼、藤田、斎藤隆、小山、嶋、銀次。愛弟子たちから花束を受け取ると、優しい笑顔で応えた。

 グラウンドからあいさつ。星野監督はまず「重苦しい、悲しいシーズンでした。でも、最後まで見届けてくれて感謝します」と、最下位に終わった今季を振り返りつつ、ファンに感謝。そしてゆっくりと、言葉ひとつひとつをかみしめるように語り続けた。

 「思い起こせば4年前、大震災から私が就任しました。どうなるのやら、本当に何というか、悲しいスタートでした。でも選手らとともに、東北の人たちを何とか喜ばせよう、少しでもなごまそうとスタートした1年でした。勝負というのは本当に残酷です。昨年の何度も何度も宙を舞った、あのシーンを思い出します。あのまま時計が止まってほしいと思ったぐらい、嬉しいあの瞬間でした。まさに今年と昨年は天国と地獄です。歓喜の後にはつねに悪魔が寄り添っている。人生ってそんなもんかなあと、そんな思いでこの1年は過ごしました。最大の責任は私が長期にわたり、皆さんの前から消えたことです。痛切に責任を感じております。このままでは皆さんを喜ばせられない、そういう思いできょう限りでユニホームを脱がしていただきます」。

 シーズン途中での休養。そして最下位に低迷した責任を感じていた。だが、星野監督はファンに“新たな希望”も置いていく。「今年、こういう結果になりまして、選手たちがまた皆さんとともに夢を追いかける、目標に向かって前に進む。そういうことが、できました。中途半端に4位、5位じゃ面白くない。思い切って、最下位からまた皆さんを喜ばせよう。そんな選手になってもらいたい。ようやくスタンドの皆さんから激しいヤジが飛び出しました。私はこれが一番うれしい。やはり皆さんが選手を育てる。チームを強くする。その責任も皆さんにもありますよ。大いに悪いことは悪い。いいプレーをしたらホメてやる。そういう目で選手を見てやってください」。
 
 闘将に涙はなかった。「イーグルスの監督になって本当に良かった。最高に幸せな野球人生を送らせていただきました。また遠くから皆さんとともに、彼らの目標をしっかりと応援してやりましょう。本当にありがとう。さよなら」。大きな拍手、歓声に見送られながら、背番号77は、静かにユニホームを脱ぐ。

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2014年10月7日のニュース