リーグ制覇もタイトルはゼロ?セ個人タイトル争いで怪現象続々

[ 2014年10月2日 07:13 ]

投手3冠を狙う巨人の菅野

 いよいよペナントレースも残りあとわずか。チーム順位だけでなく、各個人タイトルも固まってきた。今季のセ・リーグで特徴的なのは、優勝した巨人に個人タイトル獲得者がほぼいないということだ。

 現在、菅野智之が最優秀防御率と最高勝率でリーグ1位につけ、最多勝でも1位のメッセンジャー(阪神)に1差と投手三冠も狙える位置に付けている。だが、予告先発となっている、2日のヤクルト戦で炎上してしまった場合、三冠どころか現在1位の防御率と勝率でも2位以下に転落しかねない。猛打をふるうヤクルト打線だけに可能性は否定できない。

 実際、菅野がタイトルを逃してしまうと、他の選手で可能性がありそうなのがホールドポイント数で2位につける山口鉄也ぐらい。その山口もタイトルを逃すようだと、優勝チームにもかかわらず巨人からはタイトルホルダーが「ゼロ」、という珍事が生まれることになる。

 過去のペナントレース(2リーグ制以降)をさかのぼると、リーグ優勝チームで主要タイトルホルダー(MVPやベストナインなどの投票によるものは除く)がいなかったチームは、1968年の阪急、1973年の南海の2チームしか存在しない。

 一方、今季のセ・リーグでもう1つ特徴的なのが、阪神の外国人選手が全員タイトルを獲得する可能性が高いということ。首位打者争いでマートン、打点王争いでゴメス、最多勝争いでメッセンジャー、最多セーブ争いで呉昇桓がそれぞれリーグ1位につけている。外国人助っ人がこれほど揃って結果を出したこと、そして、それでもリーグ優勝できなかったこともまた珍事と言えるだろう。

 この2つの事象から読み取れるのが、野球の質が従来とは違ってきた、ということだ。少数のエースや主砲といった「個」の活躍(昨季の楽天がまさにこれだったのだが)でリーグ1位を目指すのではなく、ベンチワークも含めたチーム全体の力で勝利をものにする……ベンチまで含めた戦力の厚みがあるからこそできる戦術ともいえるが、スター選手頼みだった従来の「巨人野球」とは異質であるともいえる。今後、この流れは他のチームにも波及するのかどうか、来季以降も注視していきたい。(週刊野球太郎編集部)

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