松井裕8回2失点 星野監督に褒められた!「立派だったよ」

[ 2014年9月24日 05:30 ]

<ソ・楽>楽天先発の松井裕

パ・リーグ 楽天3-2ソフトバンク

(9月23日 ヤフオクD)
 捕手・嶋のサインにうなずいた。1点リードの8回2死一、三塁。楽天・松井裕が投じた130球目、140キロの外角直球に柳田のバットは空を斬った。空振り三振。「よっしゃ!」。心の底から叫んだ。

 「プロで初めて8回を投げさせてもらった。最後は球威も落ちていたので気持ちで投げました」

 強力打線相手に7回まで1失点。だが8回、自己最長となる未知のマウンドで最大の苦難が待っていた。今宮の犠飛で1点を失い、なお1死一、三塁。だが、星野監督は動かなかった。あえて試練を与えた。松井裕はその思いに応え、李大浩、柳田の4、5番を打ち取り、4勝目を手にした。

 最速は146キロだったが、球威で相手を押し込んだ。なぜか。理由は左股関節の柔軟性のアップ。7月までは股関節が硬く、プレートを蹴る左足の動きが一定しなかった。結果、捕手方向への体重移動がスムーズにいかず、球速が出ても球質は軽かった。8月から股関節のストレッチやゴムチューブを使用した強化運動を実施。普段の生活でも股関節を柔らかくするために、夜はどんなに暑くても湯船に入った。

 6回には試合前まで9打数5安打と打ち込まれていた内川のバットを141キロ直球でへし折り、二ゴロに。8回1死一、三塁で李大浩を二飛に詰まらせたのも、球質が重くなった直球だった。

 今季限りで退任する星野監督には恩がある。高卒ながら開幕ローテーション入りも、4試合で3敗を喫し2軍落ち。その最後の登板だった4月23日の西武戦(コボスタ宮城)後、失意の新人に星野監督は関係者を通じて「もう一回、はい上がれ!」という言葉を伝えた。これまで報道陣の前では厳しい言葉で評してきたが、それも将来のエースに成長してほしいとの期待の裏返しだった。

 「いつも怒られてばかりだったので、いい投球で星野監督を安心させたい」。そう誓って上がったマウンドでの力投。星野監督も「立派だったよ。ストライクを先行すればボール球も振ってくれる。覚えてほしいな」と優しい表情で褒めた。自身初の連勝も、まだ闘将への恩返しは終えていない。

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2014年9月24日のニュース