和田監督ささやきも“不発”…勝負弱っ 23日にもV完全消滅

[ 2014年9月22日 05:30 ]

<神・中>10回無死一塁、打席に向かう大和(右)に声をかける和田監督

セ・リーグ 阪神3-4中日

(9月21日 甲子園)
 目の前の勝利だけを追いかけた執念采配も、実らなかった。阪神は21日の中日戦(甲子園)に延長11回の末、敗戦。連勝は3で止まった。和田豊監督(52)は守護神・呉昇桓(オ・スンファン)投手(32)を9回から今季初めて2イニング起用するなど「勝利」至上のタクトを振るうも、打線が17残塁と精彩を欠いた。早ければ、23日にも優勝の可能性が完全消滅する。だが、この日見せた勝利への執念は、必ずや次戦につながるはずだ。

 勝利への執念が凝縮された一手だった。9回2死無走者。9回表から登板し、直後の攻撃で打順が巡ってきた呉昇桓に、和田監督は代打を送らなかった。1点を争う緊迫した試合展開で、決断に至った。勝負―。勝つための最善の策として「続投」を選択した。この先、クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズという短期決戦を勝ち抜くためには、勝負の一手が必要となる。

 「初めて2回投げているんでね。呉昇桓に関しては、言うことはない。出来れば、投げている間に1点を取らないといけなかったね…」

 指揮官の思いは、背番号22にも届いていた。延長に突入した10回。2イニング目のマウンドに上がっても、球威は衰えなかった。松井雅から始まる打者3人を、あっさり3者凡退に料理。9回から打者6人をパーフェクト救援し、流れを自軍へと導いた。まさに守護神と呼ぶにふさわしい、働きぶりだった。

 守護神だけではない。6回2死一、二塁で登板した2番手・安藤から松田、福原、そして呉昇桓と、中継ぎ4投手で4回1/3をつなぎ、相手打線に1人の走者も許さなかった。緊迫した試合展開で見せた、「一丸」態勢だった。その全員の顔に、「勝利」への執念がみなぎっていた。だが…。一方の打線は、指揮官の期待を裏切ってしまった。

 「昨日、一昨日と出来ていたところがね…。あと1本が出なかった。それに行き着くまでにも、いくつかミスがあったけど、ここまで来て振り返っても仕方ないんでね」

 前日までの3連勝中、計36安打21得点と絶好調だった打線が、4連勝がかかったこの日に限ってかみ合わない。安打数こそ相手の倍以上となる13安打を放ったが、好機にあと一本が出なかった。2、11回以外のすべてのイニングで得点圏に走者を進めるも、得点は5、6回の計3得点。実に17残塁。チームの17残塁以上は08年4月24日の中日戦(ナゴヤドーム)の18残塁以来で、甲子園での17残塁以上は延長15回を戦った92年9月11日のヤクルト戦での19残塁以来22年ぶりの「拙攻」だった。これでは、投手陣の力投も報われない。

 17日のヤクルト戦(神宮)前、南球団社長から「残り試合、全部勝て」とゲキを受けて以降4試合目での初黒星。23日にも、優勝の可能性が完全消滅するが、これで3カード連続勝ち越し。2位・広島とのゲーム差は、わずか1・5。残り8試合、明日なき戦いを続けるだけだ。

 ≪23日にもV完全消滅≫阪神は23日にも優勝の可能性が完全消滅する。条件は阪神がDeNAに負け、巨人が中日に勝ち。この時点で、阪神が残りの試合を全勝、巨人が全敗した場合の最終成績が77勝66敗1分けの勝率.538で並び、直接対決の勝ち越しを決めている巨人が規定により上位となるため。またこの日、広島が勝ったため、2位との差は1.5ゲームに広がり、再び自力2位浮上の可能性が消えた。

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