江夏以来セ界46年ぶり!藤浪 高卒2年連続10勝

[ 2014年9月20日 05:30 ]

<神・中>5回2死満塁、藤浪は大島を空振りの三振に仕留め雄叫びを上げる

セ・リーグ 阪神9-3中日

(9月19日 甲子園)
 またも、「江夏以来」だ。19日の中日戦(甲子園)に先発した阪神・藤浪晋太郎投手(20)は新兵器の「高速カットボール」を要所で駆使しながら、7回3失点で10勝目を挙げた。2000年の西武・松坂大輔以来となる高卒投手の入団年から2年連続2桁勝利を達成。セ・リーグでは68年の阪神・江夏豊以来の快挙となった。チームは2位・広島とのゲーム差を0・5に縮め、自力2位の可能性が復活した。

 お立ち台に上がった阪神・藤浪だったが、その表情はさえなかった。

 苦しんだ末につかんだ10勝目だった。試合後のお立ち台。藤浪は「ここにいて、いいのかな」と心境を吐露した。節目の勝利にも、心の底から湧き出る笑顔はなかった。

 「(初回)先頭に四球を出して、次もアウトに出来たプレー。その辺を反省したい」

 開口一番、反省の弁だった。初回だ。先頭・工藤に四球を与え、1死から大島の一ゴロも不運にも内野安打となって一、二塁。テンポの悪さが内野守備陣に伝染したのか、続く森野の二ゴロを処理した上本が二塁へ悪送球し、2点の先行を許した。2回にも1点を失った。2回までは本来の藤浪ではなかった。

 このままでは終われない。3回以降は「テークバックが大きすぎたり、体が全体的に横振りになっていた」と、フォーム修正。配球面も見直し、徐々に本来の姿を取り戻した。自身が5回に放った2試合連続適時打を含む打線の大量得点があり、「楽な展開で思い切って投げさせてもらった」とこうべを垂れた。

 この日の勝利で、00年の松坂以来となる高卒新人からの2年連続2桁勝利を達成した。セ・リーグでは68年の江夏以来の快挙。とはいえ、それは助けてもらってばかりの投球で達成したわけではない。「2年連続10勝」は藤浪の努力の結晶だ。

 この日も解禁したばかりの「新球」を要所で駆使した。初回2死三塁で高橋周から空振り三振を奪うなど、その新兵器で左打者の内角を大胆に攻めた。9勝目を挙げた12日・広島戦(甲子園)から本格的に投げ始めた「高速カットボール」だ。

 「握りは同じですが、ボールの切り方を変えました。左打者の内角を攻める時に使えるようにと思って使い始めました」

 従来のカットボールは135~140キロで曲がりが大きかった。それに比べて新兵器は常時140キロ以上で、時に140キロ台後半をマーク。曲がりも「ボール1個分くらいの変化」と小さくなった。ツーシーム同様、直球と同じ腕の振りで投げられ、バットの芯を外す新兵器。常に進化を追い求める姿勢こそが「2年連続10勝」の原動力だ。

 6回、荒木の打球を受けた左足付け根については「大丈夫とは思いますが、しっかり一週間治療したい」と気丈に振る舞った。これで広島と0・5差。「CSを勝ち上がって、日本シリーズも勝ち上がって日本一という形で終われたら」。最後は力強く、頂点を見据えた。

 ▼阪神・中西投手コーチ(藤浪について)立ち上がりやな。よーいドンで四球はな…。前回もやったし、ダメやな。4回から足が動き出した。(2年連続10勝は)まがりなりにも2桁は大きい。

 ≪2リーグ制後11人目≫2年目の藤浪(神)が昨季の10勝に続き今季も10勝。高卒1年目から2年連続の2桁勝利は99、00年松坂(西)以来2リーグ制後11人目。チームでは67、68年江夏以来46年ぶり2人目だ。なお、甲子園では4月30日の広島戦から5連勝で、通算10勝目(2敗)になった。

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