則本 マー君超え今季7完封!闘将初褒め「本当のエース」

[ 2014年9月20日 05:30 ]

<楽・日>9回2死、中田を三ゴロに取り球団新のシーズン7完封の則本(右)は両手を上げてバンザイ

パ・リーグ 楽天1-0日本ハム

(9月19日 コボスタ宮城)
 楽天の則本昂大投手(23)が19日、日本ハムを3安打に抑え、1―0の完封勝利を収めた。シーズン7度目のシャットアウトは田中将大投手(25、現ヤンキース)を抜く、球団最多。さらに史上6人目の全員奪三振を記録するなど、自己最多13奪三振で今季13勝目を挙げた。18日に今季限りの辞任を表明した星野仙一監督(67)にささげる「エース」の快投で、チームは4連勝を飾った。

 闘将の、こんな言葉を聞きたかった。則本の完封劇の余韻が残るインタビュー室で、星野監督は「これが本当のエースのピッチングだった。素晴らしい」と褒めた。エースの称号を与えることには「まだまだ早いよ」と即答したが、伝え聞いた則本の心は躍った。試合終了直後のヒーローインタビューでは「こういう結果なので、きょうは褒めてもらいたいな」と訴えたばかり。今までずっと耳にできなかった言葉が何よりうれしかった。

 「率直に、監督に褒められたことがうれしい。約2年間ない、というか常に怒られているので」

 絶対的なエース・田中が抜けた今季。抑えても、勝っても、必ず何らかの指摘を受けた。しかし、この夜は違った。

 突然の辞任発表から一夜。「監督と一緒に試合するのも残り少ない。いい形で退けるようにしたい」。そう思うと右腕に力が宿り、魂のボールを投げ込んだ。MAX150キロの直球がコーナーを過ぎれば、フォークも切れる。5回まではパーフェクト。初めて走者を許した6回の1死三塁、さらには8回の2死一、二塁も力と心で打者を抑え込んだ。わずか3安打の完封ショー。13奪三振が自己最多なら、全員奪三振は史上6人目の快挙ともなった。

 思えば一昨年のドラフト。全く無名だった三重中京大の則本を2位指名に推してくれたのが星野監督だった。スカウトに「力がある投手なら行けっ!」と指示。その一言が、ここまでに導いてくれた。だから田中の穴を埋めようと必死に投げ続けた。その指揮官からは「3年やってこそエースや」ときつく言われているという。プロ入り2年目。「真摯(しんし)に受け止めてます」。その称号は早いと分かっている。

 完封は今季7度目。これで11年の田中の6度を超えて球団新記録となった。まだある。1―0完封だ。9イニングの1―0完封をしたことがない田中は「一番難しい」と言った。記録ずくめの快投に「球団記録はうれしい。少しは成長しているのかな」と笑った。

 星野監督は「監督の仕事は辞めて終わりではないんや。チームの将来を考え、辞めた後にどれだけ光を残せるかや」と言った。この夜、則本の放った光は、楽天の未来を照らしていた。

 ≪パ36年ぶり≫則本(楽)が自身最多の13三振を奪い、今季7度目の完封勝利で13勝目。シーズン7度以上の完封は89年斎藤雅(巨=7度)以来で、パでは78年鈴木啓(近鉄=8度)以来36年ぶり。楽天では11年田中の6度を抜く球団新記録となった。則本は新人の昨季15勝をマーク。チームは15試合を残しており、新人から2年連続15勝以上なら87、88年西崎(日=15、15勝)、90、91年野茂(近鉄=18、17勝)以来ドラフト制後3人目となる。

 ≪全員奪三振はプロ野球6人目≫則本は日本ハムの打者9人全員から奪三振を記録。全員奪三振は岩隈(楽)が09年9月1日西武戦でマークして以来、プロ野球6人目。うち完封で飾ったのは04年松坂(西)、08年大場(ソ)に次ぎ3人目だ。

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