能見FA流出阻止へ複数年用意 最大限の誠意尽くす

[ 2014年9月19日 05:30 ]

黙々とランニングする能見

 阪神が5月30日に国内フリーエージェント(FA)権を取得した能見篤史投手(35)の引き留めへ複数年契約を用意していることが18日、分かった。能見は2011年から3年連続で2桁勝利を挙げ、最近4年間で3度、開幕投手を務めるなど投手陣をけん引してきた。球団は来季以降も必要不可欠な戦力としており、最大限の誠意を尽くして他球団への流出を阻止する。

 来年はもちろん、ずっとタテジマのユニホームに袖を通してもらいたい-。現状、V奪回の可能性はほぼなくなり、広島との2位争いを展開中。来季のリーグ制覇に向け、能見が欠かせない存在であることは誰もが認めるところ。球団首脳の一人は「本当によく投げてくれている。来年も必要な戦力だし、この先もタイガースで頑張ってほしい」と残留を熱望し「切り札」として複数年契約を用意する意向を示した。

 能見はプロ5年目の09年に先発ローテーションに定着すると、いきなり13勝をマーク。11年には初の開幕投手を務めるなど通算3度、大役を任され「猛虎の顔」になっている。今季は開幕から不振にあえぎ、白星こそ伸び悩んでいるが、メッセンジャー、藤浪と先発3本柱を形成。前日17日のヤクルト戦では8回無失点の好投で今季8勝目を挙げ、4年連続の2桁勝利も視界に捉えている。

 「Gキラー」の異名を持つように、宿敵・巨人との対戦でも力を発揮してきた。12年9月15日の対戦から追加日程分を除いて足かけ3年、実に14カード連続で巨人戦に登板。09年から11年にかけては球団タイ記録となる8連勝を記録するなど、ここまで通算18勝。昨年5月6日の対戦(東京ドーム)では、プロ初本塁打を放っての完投勝利と印象的な試合も多い。猛虎にとって伝統の一戦を戦うには欠かせない存在にもなっている。

 阪神にとってもFA戦線では苦い記憶がある。昨オフ、引き留めに失敗しDeNAに移籍した久保が、今季ここまでリーグトップタイの12勝と活躍している。皮肉にも、チームは今季、先発の駒不足に悩み続けた。万が一、能見も他球団に流出するようなことがあれば、チームの将来設計に大きな狂いが生じることは必至だ。

 昨年12月に開催されたトークショーでFA権の話題を振られた際には「タイガースにいると思います」と発言。権利を取得した5月30日も、当時の心境に変化はないかと問われ「何も変わっていない」と残留示唆も、決して油断はできない。

 年数に関しては今後の交渉で決定していくことになる。「不動のエース」として来年以降も君臨してもらうべく、最大限の誠意を尽くして今後、本格的な残留交渉に入っていく。

続きを表示

2014年9月19日のニュース