西武ファンもジャンプ!稲葉 感謝の一発「今年一番の打球」

[ 2014年9月18日 05:30 ]

<西・日>試合後に両チームのファンからの声援に応える稲葉

パ・リーグ 日本ハム5-0西武

(9月17日 西武D)
 西武ドームが揺れた。4―0の9回だ。日本ハム・稲葉が代打で登場すると、札幌ドーム名物の「稲葉ジャンプ」は右翼席の日本ハムファンだけでなく、左翼席の西武ファンにまで波及した。

 大歓声の中で42歳のベテランは集中した。そして4球目。「自分のスイングだけに集中した。スイッチは最初の1球を見逃したところで入った」。内角低めの144キロ直球に対し、稲葉独特のバットのヘッドを立てるようなスイングで振り抜いて、右翼席へ2号ソロ。2日に今季限りでの引退を表明して以降、18打席目に出た初安打だった。

 自身6本目の代打弾は05年8月7日の西武戦(札幌ドーム)以来、9年ぶり。「長かった。引退会見してから本当に打ってなかったので、ホッとした。久しぶりにインコースをうまくさばけた。今年一番の打球」。通算260本目は「これぞ、稲葉」といえるアーチだった。スタンドには号泣するファンも。稲葉は何度もヘルメットを取って大歓声に応えた。

 引退表明会見後に泥沼にはまった。「(発表は)このタイミングではなかったかな」と後悔もした。打球がフェンス前で失速すると、「こんな打撃しかできないから引退するんだ」とこぼしたこともある。それでももがいた。「まだ、上達できるんだ」とバットを振り込んだ。

 この日の練習中、栗山監督から「状態が上がってきたぞ。ここぞの場面で使うからな」と言われ、そして最高の結果を出した。「全国のファンに応援してもらった。一生懸命やってきてよかった」。選手生活のフィナーレに向かう稲葉から最高の笑みがこぼれていた。

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