ソフトB 793日ぶり大隣完封でマジック王手 17日引き分け以上で点灯

[ 2014年9月17日 05:30 ]

<オ・ソ>4安打完封勝利に細川(左)と笑顔でハイタッチの大隣

パ・リーグ ソフトバンク5-0オリックス

(9月16日 京セラD)
 120球目は121キロのチェンジアップだった。9回1死一塁、最後はペーニャを遊ゴロ併殺打に仕留めたソフトバンクの大隣はホッとした表情だった。中8日で天王山の頭を任され、12年7月15日のロッテ戦(ヤフードーム)以来793日ぶりの完封。ヒーローインタビューでは「出来過ぎです」と謙そんしたが、客席の「そんなことないぞ」のエールに思わず、吹き出した。

 「完封は出来過ぎ。ローテを守ってきた投手をずらし、投げさせてもらえた。最高の結果を出せたと思います」

 最大のピンチは1点リードの2回2死満塁だ。平野恵に2ボール2ストライクの7球目。「いままでにないチェンジアップ。打者は待っていないボールだったと思います」。左打者の内角へと沈む123キロチェンジアップで空振り三振に仕留めた。3回以降の7イニングは3併殺打を奪うなど、全て打者3人で抑えた。

 厚生労働省指定の難病「黄色じん帯骨化症」が生んだ決め球でもあった。リハビリ中に「左(打者)の内にチェンジアップを投げればのけぞるんじゃないか」と考案。12勝を挙げた12年は右打者の被打率・189に対し、対左は・302。対右打者より、死球の可能性も高く、少し、浮けば打ちごろの球にもなる。ただ、時間はあった。昨年6月の手術から今年7月に復帰するまで2、3軍のマウンドで鍛え、磨き上げた。

 「いいピッチングだよ。いいピッチングだった」と秋山監督は繰り返した。本来ならば10勝右腕・スタンリッジの順番だったが、中5日で15日のロッテ戦(ヤフオクドーム)に前倒ししてまで好調左腕を抜てきし、快勝した。ゲーム差は今季最大タイの4・5。優勝マジックは17日に引き分けで「8」、勝てば「7」がともる。

 無傷の3連勝を飾った大隣は言った。「体は問題ない。(好調時へ)近づいてきている部分はある」。もはや、完全復活と呼べる快投だった。

 ▼ソフトバンク・郭泰源投手コーチ(2年ぶり完封勝利の大隣に)制球が素晴らしかった。球筋も切れも良かった。

 ▽黄色じん帯骨化症 脊髄の後ろにある椎弓(ついきゅう)と呼ばれる部分を上下につなぐ黄色じん帯が骨化して、脊柱管内の脊髄を圧迫する病気。初期症状として主に下肢の脱力やしびれがみられる。悪化すると両下肢まひを来すこともあり、日常生活に支障が生じる可能性もある。国の特定疾患に指定されている難病で、原因は不明。ブロック注射などで痛みを和らげる方法もあるが、症状が進行している場合は手術が必要になる。楽天・星野監督、巨人・越智も手術を受けている。

 ≪○で7、△でも8≫首位ソフトバンクが2位オリックスとの直接対決に先勝。16日もソフトバンクが勝てば、優勝マジック7、引き分けでもM8が初点灯する。この日は大隣が自身2年ぶりとなる完封勝利。チームは前回の4日オリックス戦も継投で完封しており、同カードは3日の7回から21イニング連続無失点と投手陣の充実ぶりが目立つ。

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