マエケン全開「腕ちぎれてもいい」 今季6度目で初G斬り

[ 2014年9月16日 05:30 ]

<広・巨>風船で赤く染まったスタンドを背に投げる前田健

セ・リーグ 広島4-0巨人

(9月15日 マツダ)
 これがエースの底力だ。広島・前田健太投手(26)が15日、首位巨人を相手に8回を2安打無失点に抑え、4試合ぶりとなる11勝目を挙げた。5回までは無安打投球で、今季巨人戦6試合目の先発で初白星。これで巨人とは残り15試合で4ゲーム差。逆転優勝へ一縷(いちる)の望みをつないだ。

 逆転優勝のためには、3連戦3連勝しかない。その初戦を託された前田健が8回を2安打無失点。エースの矜持(きょうじ)と意地を見せた。

 「巨人戦で勝っておかないといけない思いだった。自分がきょう投げることに意味があったと思う」

 今季ここまで巨人戦は5度の先発で0勝3敗。特に8月15日(マツダ)は6失点で今季最短の3回で降板。さらに今月3日(前橋)も6回4失点。ともに雨中のマウンドで崩れた。

 23年ぶりのリーグ優勝を信じて、3万1830人が集まった本拠地。もう裏切ることはできなかった。レッドソックス、レンジャーズなど今季最多の10球団のメジャーのスカウト陣が集結した一戦。立ち上がりは制球が定まらなかったが、5回まで無安打に抑え込む。6回、先頭の片岡の左中間への打球をロサリオが追いつきながらも捕球できずに不運な二塁打を許したが「点差があったので、あそこで崩れるのが一番駄目。1点はいいと思って投げた」。冷静に試合の流れを読み、151キロを記録した速球と切れ味鋭いスライダーを武器に後続を断った。野村監督も「マエケンがいい投球だった。頭を取れたのは良かった」と大きく息を吐き出した。

 23年ぶりの優勝へ、もう一つのモチベーションがある。昨年9月12日に誕生した長女の存在だ。愛娘の1歳の誕生日は甲子園遠征出発当日だったため、午前中にお祝いをし、新幹線に飛び乗った。「ちゃんとお祝いしました…。と言っても、まだ大したものは食べられないんですけど」と目を細めながら振り返った。

 残り15試合で巨人と4ゲーム差だが「不可能な数字ではない」と言う。球宴後はまだ2勝と物足りないが、復調はチームにとって好材料。大歓声を浴びた背番号18は「いけるとか、厳しいとかではなく、全部勝つしかない。一戦一戦必死に、腕がちぎれてもいいくらいの気持ちで投げていく」。エースが奇跡への扉を開いた。

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