バカボン七條涙の初完投「このチャンスつかめないと後がないと…」

[ 2014年9月6日 05:30 ]

<ヤ・巨>お立ち台で涙を流す七條

セ・リーグ ヤクルト4-1巨人

(9月5日 神宮)
 お立ち台から見える最高の景色が涙でにじんだ。ヤクルト・七條は「先発のマウンドに立てることが本当に光栄です」と第一声を口にすると、こみあげてくるものを抑えることができない。「このチャンスをつかめないと後がないと思っていた。いい形で試合をつくれて凄くうれしくて…」。719日ぶりの白星をプロ4年目で初の完投勝利で飾りファンの大声援を背に号泣した。

 今季初先発は強力巨人打線相手。初回は変化球の制球が定まらず、1~3番には3ボールとカウントを悪くした。しかし「緊張も想定内」と慌てることなく、丁寧に低めを突いた。直球は最速142キロでも、打者を差し込んだ。9回には亀井を140キロ直球で見逃し三振。9回5安打1失点。最後まで堂々と、マウンドを守り抜いた。

 家族の力が支えになった。12年は6試合に先発して2勝3敗。昨季は中継ぎで30試合に登板した。しかし今季1軍では2試合に中継ぎ登板したのみ。2軍でも防御率4・16と不安定な投球が続き「子供の寝顔を見るとつらいときがあった」という。千春夫人(30)は今年11月に第3子を出産予定のため、大分に帰省中。会うことはできないが、携帯電話に送られてくる長男・直輝君(3)と長女・みな実ちゃん(1)の写真が活力だ。前夜は電話で夫人の激励を受け、試合後には早速、長男の声を聞いて喜びを倍増させた。

 小川監督が「言うことない。ナイスピッチングだった。それに尽きる」と賛辞を贈ったうれしい復活劇。だが、七條に浮かれた様子はない。「僕は後がないので、常にやるだけ。腹をくくってマウンドに立ちたい」。帰ってきた「バカボン」が、たくましい姿を見せた。

 ◆七條 祐樹(しちじょう・ゆうき)1984年(昭59)7月10日、宮崎県生まれの30歳。延岡工では3年春のセンバツで2回戦敗退。卒業後、日産自動車九州に進んだが、廃部に伴って伯和ビクトリーズに移籍。10年の都市対抗1回戦で完封勝利。同年ドラフト2位でヤクルト入団。社会人時代に上司から「似ている」と言われ、あだ名は「バカボン」。1メートル80、85キロ。右投げ右打ち。

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2014年9月6日のニュース