岩隈 今季与四球13に13勝並んだ 伝説級名投手の仲間入り目前

[ 2014年9月2日 05:30 ]

<マリナーズ・ナショナルズ>13勝目を挙げた岩隈(AP)

インターリーグ マリナーズ5―3ナショナルズ

(8月31日 シアトル)
 マリナーズの岩隈久志投手(33)がナショナルズ戦に先発し、6回を5安打3失点で13勝目を挙げた。今季の日本人投手ではヤンキース・田中将大投手(25)の12勝を抜き、単独トップに浮上。さらに今季23度目の先発で13度目の無四球試合となり、勝ち星が与四球数(13)に並んだ。シーズンで勝ち星が四球数を上回った投手は、規定投球回数に達した中では大リーグ史上3人しかいない。岩隈が4人目の偉業を成し遂げるかに注目が集まる。

 連敗を3で止めて沸き立つマリナーズのロッカールーム。13勝目を挙げた岩隈は反省の弁を交え、投球を振り返った。

 「上下のバランスが合わなくて自分の球が投げられなかったけど何とか3点に抑えることができた」。2回から4回まで「初めてだと思う」という3イニング連続の本塁打を被弾。真っすぐは走らず、変化球は高めに浮く。それでも大崩れしないのが経験豊富なところ。打開策として「途中からインサイドを攻めて勝負できた」。4回はラモス、5回はレンドンをツーシームで内角を攻め、いずれもバットを折って三ゴロに仕留めた。

 結局、ソロ3発による失点だけ。傷口を最小限に抑えられるのも四球を与えないからだ。この日も無四球。通算155回1/3を投げ、両リーグトップの与四球率(9イニング当たりの与四球数)は0・75。1試合に1個も与えない計算で勝ち星が与四球数(13)に追いついた。大リーグで勝ち星が四球数を上回ったのは、規定投球回数に達した投手では過去3人。その中には抜群の制球力を誇り、メジャー歴代3位の通算373勝を挙げた伝説のクリスティ・マシューソン(ジャイアンツ)がいる。

 制球力を支えているのが、スムーズな体重移動。岩隈の顔はブレることなく、地面と平行のままフィニッシュに達する。体のバランスが優れているからだ。ダルビッシュ(レンジャーズ)はバランスを良くするために左手でキャッチボールを行うが、岩隈はもともとが左利き。字を書くのも、箸を持つのも左手で「サッカーも左足で蹴ります」。少年時代、一緒に遊んだ子供たちが右手で投げていたため、右手で投げ始めたという。体の左右の部分を均等に使いこなせることが安定したフォームの源になっている。

 チームは13年ぶり、岩隈にとっては初のプレーオフ進出を目指している。「自分のやるべきことをしっかりとやりながら戦っていきたい」。レギュラーシーズンは残り1カ月。今後も四球を与えず、ゲームをつくる。

 ≪日本では2人だけ≫日本時代の岩隈は通算107勝で342与四球、与四球率は2.00。1シーズンでは21勝を挙げた楽天時代の08年が36四球と少なかった。過去の日本プロ野球の規定投球回到達者で、与四球が勝利数より少なかったのは、50年野口二郎(阪急=15勝14四球)、59年杉浦忠(南海=38勝35四球)の2人だけ。

 ≪373勝マシューソンら≫過去にシーズンの勝ち星が与四球を上回った3人はいずれも名投手だ。2度記録しているマシューソンは、歴代3位の通算373勝で、1908年に記録したナ・リーグ記録の37勝は、現在も抜かれていない。94年に記録したセイバーヘイゲンは通算167勝で、85、89年と2度サイ・ヤング賞を獲得。通算の1試合平均与四球率は1.65と抜群の制球力を誇った。サリーは通算174勝をマークしている。

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2014年9月2日のニュース